交渉は英語で何と言う?3つの動詞の使い分けと例文
取引先と条件を詰める場面が増えると、交渉を英語で伝える言葉が必要になります。
まず思い浮かぶのはnegotiateですが、調べてみると、値段や条件をめぐるやり取りにはbargainやhaggleもあります。交渉がまとまったときや行き詰まったときには、さらに別の表現が出てきます。どれを選べばよいのか、迷う方は多いのではないでしょうか。
結論を先にお伝えすると、取引条件の話し合いはnegotiateを軸に考えると使い分けやすくなります。値段や条件を相手とかけ合う場面では、bargainとhaggleも使えます。
この記事では、まず、negotiate、bargain、haggleという3つの動詞の使い分けと、一緒に使う前置詞の形を整理します。
次に、名詞のnegotiationを使った決まった言い方と、交渉の結果を表す語を、意味と例文で確認します。
そのうえで、納期や支払いなど、価格以外の条件を伝える例文と、強すぎる言い方を丁寧にする方法も説明していきます。
交渉の動詞は、話し合い全般ならnegotiate、値段のかけ引きならbargainとhaggle
交渉を表す動詞は、何を話し合うかで選びます。
negotiateは、正式な話し合いで合意に達しようとすることを表す動詞です。この記事では、取引条件や契約の話し合いを言うときの軸として、この語を中心に説明します。
bargainは、受け入れられる合意に達するために、相手と価格や条件などを話し合う動詞です。negotiateと近い意味の語として扱われます。haggleは、特に価格について合意に達するために相手と言い争う動詞です。
使う場面の違いについては、少し違う見方もあります。
negotiateは日本語の「ネゴシエーション」と同じくビジネスシーンで使われる語、bargainはnegotiateよりカジュアルな場面で値切りを表すときによく使われる語、haggleは市場や屋台などでの交渉に使える語、という捉え方です。
ただし、この記事では、カジュアルかどうかは、語そのものの意味の違いではなく、使われ方の傾向だと考えて、断定はしていません。迷ったときは、意味の違いを基準に選ぶと、間違いが少なくなります。
以下の表にて交渉を表す動詞を、語義、よく使う型、例文で並べました。
| 英語 | 語義(要約) | よく使う型 | 例文 |
|---|---|---|---|
| negotiate | 正式な話し合いで合意に達しようとする。他動詞では、話し合って取り決める | negotiate with 人 for / about / on 物、negotiate 物 | We have been negotiating for more pay.(より高い賃金を求めて交渉してきた) |
| bargain | 合意に達するために、相手と価格や条件などを話し合う | bargain with 人 about / over / for 物 | In the market, dealers were bargaining with growers over the price of coffee.(市場で業者が生産者とコーヒーの価格をめぐって交渉していた) |
| haggle | 特に価格について、合意に達するために相手と言い争う | haggle with 人 over / about 物 | I left him in the market haggling over the price of a shirt.(市場でシャツの値段を言い争っている彼を残してきた) |
迷ったときの目安は、次の3つです。
- 取引条件や契約など、話し合い全般を言うときは、negotiateを選びます。
- 値段や金額をかけ引きする場面では、bargainかhaggleを選べます。
- haggleの語義には「言い争う」が含まれるため、取引先との丁寧な条件の相談では、negotiateが無難と考えられます。
negotiateは「相手」と「話題」の置き方が2通りある
negotiateは、自動詞(後ろに前置詞を置いて話題を示す使い方)と他動詞(取り決める対象をそのまま後ろに置く使い方)の両方で使います。
型は、negotiate (with somebody) (for something)と、negotiate (with somebody) about/on somethingです。
例文では、forの後ろに求めるもの、onの後ろに話題が来ています。
- We have been negotiating for more pay.(より高い賃金を求めて交渉してきました)
- They have refused to negotiate on this issue.(彼らはこの問題についての交渉を拒んでいます)
他動詞では、取り決める対象をそのまま後ろに置きます。to negotiate a deal/contract/treaty/settlementの形が代表的です。
例文は、Union leaders have negotiated an agreement for a shorter working week.(労働組合の代表は、週の労働時間を短くする合意を取り決めた)です。
negotiateは、「互いに行う動作」を表す動詞でもあります。これは相互動詞(reciprocal verb)と呼ばれる性質で、The two sides have to negotiate.(双方は交渉しなければなりません)とも The two sides have to negotiate with each other.(双方は互いに交渉しなければなりません)とも言えます。
このように、相手をwithで示すか省くかは、文脈によって使い分けられることが多いです。
bargainとhaggleは値段や条件のかけ引きに使う
bargainは、bargain with 人 over 物の形で、価格や条件をめぐる話し合いに使います。
表の例文にあるdealers were bargaining with growers over the price of coffeeは、取引業者と生産者がコーヒーの価格をかけ合う場面です。
haggleには、haggle something down (to something)という型があります。例文のI managed to haggle the price down to something more reasonable.(値段を交渉して、もっと納得できる額まで下げることができました)は、値段を交渉してもっと納得できる額まで下げさせた、という意味です。
haggleは、価格のほかの金額についてのかけ引きにも使えます。名詞のhagglingを使った、There was some haggling over the fee.(料金をめぐってやや言い合いになった)のような言い方もあります。
negotiateには交渉と関係のない意味もある
negotiateには、道や経路の難しい部分をうまく通り抜ける、という別の意味もあります。
この意味はformal(改まった語)で、例文は、The climbers had to negotiate a steep rock face.(登山者たちは急な岩壁を乗り越えなければならなかった)です。negotiate a corner(カーブをうまく曲がる)のような言い方もできます。
交渉の話題ではない文章でnegotiateを見かけたら、道や坂道などの難しい部分を通り抜ける意味で使われていないか、場面を確認してみましょう。
名詞のnegotiationは複数形で使うことが多く、決まった言い方がある
交渉という名詞は、negotiationです。可算(数えられる名詞で、通例は複数形)と不可算(数えられない名詞)の両方の使い方があります。
peace/trade/contract negotiationsのように複数形で使う例が中心なので、negotiationsの形に慣れておくと使いやすいでしょう。
名詞は、動詞や前置詞との組合せで覚えると使いやすくなります。negotiationと、形容詞non-negotiableの決まった言い方を、表にまとめます。
| 決まった言い方 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| enter into / open / begin negotiations | 交渉に入る、交渉を始める | to enter into/open/begin negotiations |
| continue / resume / conclude negotiations | 交渉を続ける、再開する、まとめる | to continue/resume/conclude negotiations |
| under negotiation | 交渉中である | The issue is still under negotiation.(その問題はまだ交渉中です) |
| in negotiation with 人 | 人と交渉中である | A contract is prepared in negotiation with our clients.(契約書は、顧客との交渉のなかで用意されます) |
| open to negotiation | 交渉の余地がある | The price is generally open to negotiation.(価格は、一般に交渉の余地があります) |
| non-negotiable | 話し合うことも変えることもできない | non-negotiable demands |
例文では、under negotiationが交渉の対象である案件に、in negotiation withが交渉の相手に使われています。
non-negotiableは、negotiable(交渉できる)の反対の形容詞です。交渉の余地がない条件を伝えるときに使います。
交渉の結果を表す語は、まとめる・歩み寄る・譲る・決着する・行き詰まるで使い分ける
交渉は、結果の言い方も1つではありません。
取引をまとめた、歩み寄った、譲った、決着した、行き詰まったを、語義と例を以下の表で整理します。
| 日本語の場面 | 英語 | 語義(要約) | 例 |
|---|---|---|---|
| 取引・合意をまとめる | strike a bargain / deal | 双方に利益がある合意をする | Perhaps we could strike a bargain.(もしかすると、取引をまとめられるかもしれません) |
| 歩み寄る | compromise | 双方が望むものの一部をあきらめて、最後に双方が納得する合意 | After lengthy talks the two sides finally reached a compromise.(長い話し合いの末、双方はついに歩み寄りました) |
| 譲る | concession | 言い争いを終わらせる、または状況を和らげるために、自分が認めること、または相手に認めること | The firm will be forced to make concessions if it wants to avoid a strike.(ストライキを避けたいなら、その会社は譲歩せざるをえないでしょう) |
| 決着する | settlement | 二者の間の言い争いを終わらせる公式な合意 | The management and unions have reached a settlement over new working conditions.(経営側と労働組合は、新しい労働条件について合意に達しました) |
| 行き詰まる | deadlock | 合意に達する、または言い争いを決着させることの完全な失敗 | The strike has reached a deadlock.(ストライキは行き詰まっています) |
混ざりやすいのは、compromiseとconcessionです。
語義で見ると、compromiseは双方が一部をあきらめた結果の合意で、concessionは自分が認めること、つまり譲る行為そのものを指します。「こちらが最低注文数量を譲る」ならconcession、「お互いに譲って折り合った」ならcompromiseと分けると、使い分けやすくなります。
動詞との組合せも押さえておきましょう。
concessionはgrant・make・offerと組み合わせ、表の例文ではmake concessionsの形が使われています。compromiseは、reachのほかにcome toやarrive atと組み合わせます。
deadlockは、reachに加えてbreakやendと組み合わせます。例文は、European agriculture ministers failed to break the deadlock over farm subsidies.(欧州の農業担当大臣たちは、農業補助金をめぐる行き詰まりを打開できなかった)です。
名詞のbargainには注意が必要です。名詞のbargainは、まず「通常より安く買ったもの」、つまりお買い得品を指します。交渉の意味では、make a bargainやstrike a bargainの形で使います。drive a hard bargainというイディオムは、攻撃的に議論して、相手に最良の価格や条件を認めさせるという意味です。
納期・支払・契約期間の交渉は、切り出す・提案する・確認するの例文で伝える
ここからは、ここまでの語を使って、価格以外の条件を相手に伝える例文を示します。
ここに挙げる英文は、この記事のための例文です。納期・支払・契約期間のように、数字だけでなく条件の組合せを調整する場面を想定しています。
交渉を切り出して条件を伝える
最初の一言では、何についての交渉なのかを先に示します。
- We would like to negotiate the delivery date.(納期について交渉させていただきたいです)
- Could we discuss the payment terms before we sign the contract?(契約書に署名する前に、支払条件についてご相談できますか)
- We are negotiating with two suppliers about the delivery schedule.(納品スケジュールについて、2社の供給元と交渉しています)
1文目は、negotiateの後ろに交渉の対象をそのまま置く他動詞の型です。3文目は、negotiate with 人 about 物の型です。
条件を提案して歩み寄る
こちらの条件と相手の条件を結びつけて、折り合う点を探す例文です。
- If we sign a two-year contract, would you be able to shorten the delivery time?(2年契約を結ぶなら、納品までの期間を短くしていただけますか)
- We could move the delivery date earlier if the payment is made in advance.(前払いしていただけるなら、納期を早められます)
- We are willing to make a concession on the minimum order quantity.(最低注文数量については、こちらが譲る用意があります)
- I think we can reach a compromise on the payment schedule.(支払のスケジュールは、折り合いがつけられると思います)
3文目は、make a concession on 物の型です。
4文目は、reach a compromise on 物で、compromise onの型を使っています。
行き詰まったら区切り、まとまったら合意を確認する
話し合いが進まなくなったときは、行き詰まっていることを言葉にして伝え、いったん話し合いを区切りましょう。話がまとまったあとは、合意した内容を、口に出して確認します。
- It looks like we have reached a deadlock on the contract length. Shall we take a short break?(契約期間で行き詰まっているようです。少し休憩しませんか)
- Let me confirm what we have agreed on. The delivery date is June 30, and the payment is due within 45 days.(合意した内容を確認させてください。納期は6月30日、支払いは45日以内です)
メールで条件を相談し、合意を残す
メールでは、会話と違って、話した内容が文章として残ります。
最初のメールで交渉したい点を2つに絞って伝え、合意したあとは、その内容を文章で確認しておくと、認識のずれを防ぐことができます。
交渉を持ちかけるときの例文です。
Thank you for your proposal. We would like to negotiate two points: the delivery date and the payment terms. Would you be available for a call next week?(ご提案ありがとうございます。納期と支払条件の2点について交渉させていただきたいです。来週、お電話の時間をいただけますか)
合意を確認するときの例です。
After our discussion, I would like to confirm that we have agreed on the delivery date. Please let me know if anything differs from your understanding.(話し合いのあと、納期について合意した点を確認させてください。ご認識と違う点があれば、お知らせください)
価格交渉や譲歩、成約の定番フレーズは、英語商談で使えるフレーズ集にまとまっています。
強すぎる言い方は、クッションと代案で丁寧に言い換える
オンライン英語コーチングのイングリードでは、英語での交渉の練習で、強すぎる表現や直接的すぎる言い方を、ビジネスの場に合う丁寧な表現へ言い換える指導もしています。
短く言い切る形は、相手にきつく聞こえることがあります。次の表は、言い換えの一例です。なお、表の英文は、この記事のために用意した例文になります。
| 強い言い方 | 丁寧な言い方 | 変わるところ |
|---|---|---|
| We can’t finish it by Friday.(金曜日までには終わらせられません) | Friday may be a little tight for us. Would the following Wednesday work?(金曜日は、こちらは少し厳しいかもしれません。翌週の水曜日ではいかがでしょうか) | できないと言い切らず、厳しいと伝えてから代案を尋ねる |
| Your terms are unacceptable.(あなたの条件は受け入れられません) | We have some concerns about these terms. Could we go through them together?(これらの条件について、いくつか懸念があります。一緒に確認していただけますか) | 拒否せず、懸念があると伝えて一緒に確認する |
| Shorten the delivery time.(納品までの期間を短くしてください) | Is there any flexibility on the delivery time?(納品までの期間に、融通の余地はありますか) | 命令形をやめ、余地があるかを尋ねる |
| You must pay earlier.(もっと早く支払ってください) | Would it be possible to receive the payment a little earlier?(お支払いを少し早めていただくことは可能でしょうか) | mustをやめ、可能かどうかを尋ねる |
| We won’t discuss this.(これについては話し合いません) | This point is non-negotiable for us, but we are open to discussing the other terms.(この点はこちらとして譲れませんが、ほかの条件については話し合う用意があります) | 譲れない点だけを言い切り、ほかの条件は話し合えると添える |
言い換えの工夫は、3つに分けられます。
1つ目は、断る前にWe have some concernsのようなクッションを置くことです。2つ目は、命令形やmustを避けて、Would it be possibleのように可能かどうかを尋ねることです。3つ目は、断るときに代案や余地を一緒に示すことです。
譲れない条件だけは、non-negotiableで言い切ります。
語義は「話し合うことも変えることもできない」なので、すべての条件に使うと交渉が成り立ちにくくなります。譲れない点を絞り、残りは余地を示すと、強く言い切る場面と柔らかく伝える場面を区別できます。
まとめ:交渉の英語は動詞・名詞・結果の語を場面で使い分ける
この記事のポイントは以下3点になります。
- 取引条件の話し合いはnegotiateを軸に考え、値段や条件のかけ引きにはbargainとhaggleも使います。
- 名詞のnegotiationは複数形で使うことが多く、動詞や前置詞との決まった組合せがあります。
- 交渉の結果は、取引をまとめる、歩み寄る、譲る、決着する、行き詰まるで、使う語が変わります。
次に交渉の場面があれば、まず自分の話題が条件の相談なのか、値段のかけ引きなのかを決めてください。
そのうえで、納期や支払の例文を自分の条件に置き換えて使うと、ここで整理した語が実際の言葉になります。
参考












