フィリピン人の英語力について考察!オンライン英会話の際に気をつけるべきポイントとは?
英語学習者であれば、多くの人が検討するであろうサービスが「オンライン英会話」です。
最近は多くのオンライン英会話運営会社がありますが、教える講師たちは、講師を特定の国出身者に限定し特化しているオンライン英会話でない限り、大多数がフィリピン人です。
フィリピン人以外の講師がいることが、そのオンライン英会話サービスの「売り」になるくらい、オンライン英会話の講師と言えば「フィリピン人」というのが定着しています。
オンライン英会話利用者は、特に新型コロナウイルスの流行により対面での英会話教室や留学が難しくなる中で、さらに増加傾向にあります。
このようにオンライン英会話は日本国内で広く認知されていますが、これから始めようとしている人たちは、講師であるフィリピン人の英語力に疑問を持つ人たちも少なからずいることでしょう。
ここではオンライン英会話講師の大多数を占めるフィリピン人の英語力について考察し、フィリピン人講師とのオンライン英会話でより英語を伸ばすためのポイントについて解説します。
Contents
まずは、ネイティブ信仰の呪縛から解き放たれよう
何かを学ぶ際に、「誰から学ぶか」は重要なポイントです。
英語の習得を目指す時に利用されることの多いオンライン英会話ですが、その講師の大多数であるフィリピン人講師から学ぶことに、不安を抱く人が少なからずいるのは事実です。
「フィリピン人講師は訛りがあって、その癖が移ってしまうのではないか」
「英語ネイティブではないフィリピン人から学ぶことに意味があるのだろうか」
「そもそもフィリピン人は英語ができるのだろうか」
など、英語ネイティブではないフィリピン人講師から学ぶことに様々な疑問を持つ人も多いでしょう。
しかし、英語を始めとして外国語を学ぶ時に、必ずネイティブから学ばないといけないというのは、思い込みであると言わざるを得ません。
英語ネイティブから学んだ方が良い点もあれば、非英語ネイティブから学ぶ方が結果につながる点もあるのです。
英語ネイティブは、生まれ育った環境に常に英語があり、理屈ではなく自然と英語を身につけた人々です。
一方、フィリピンを始め、高度の英語力を持つ非ネイティブの英語講師の多くは、自国の言葉が第一にあり、英語は学習を通して身につけた人々です。
特に母語が確定してからの英語学習においては、習熟度と段階によって英語ネイティブの方が良い場合もある一方、非英語ネイティブ講師から学んだ方が効果的な場合があります。
ここでは英語ネイティブから学ぶメリットとデメリット、非英語ネイティブから学ぶメリットとデメリットを紹介します。
英語ネイティブに学ぶメリット・デメリット
英語ネイティブとは一般的にはイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーラン出身者で第一言語が英語である人や、国籍は違っても、両親などがそれらの国にルーツを持ち家庭環境により英語が第一言語である人々を指します。
彼らは物心がつく前から英語環境にあり、英語は無意識のうちに身につけていった人たちです。
彼ら英語ネイティブに学ぶメリット、デメリットはどんなものが挙げられるでしょうか。
英語ネイティブに学ぶメリット
英語ネイティブに学ぶメリットに挙げられるのは以下のような点です。
- 英語ネイティブの自然な英語表現を学ぶ事ができる
- 英語ネイティブの自然な速さとイントネーションに慣れることができる
英語ネイティブの自然な英語表現を学ぶことができる
日本語でも「書き言葉」と「話し言葉」が違うように、英語も、英語の教本にある英語表現以外にも数多くの表現があります。
また、英語にもスラングや流行語があり、それらは英語の非ネイティブだとなかなかキャッチが難しいものです。
また同じ意味の単語や表現でも、それぞれカジュアルな場に適したもの、フォーマルな場に適したもの等、英語ネイティブは、使われる英語の細かなニュアンスの違いにも気づくことができます。
日本語で考えると、例えば助動詞の「は」と「が」は、使い方によって文章の意味合いが微妙に変わりますが、日本語を学習している外国人にはその微妙な違いがあまりよくわからなかったりします。それはネイティブだから気付ける言葉の微妙なニュアンスの違いと言えます。
また、ネイティブは使える表現の引き出しの数も多いので、多様で幅広い英語表現を学ぶことができます。
日々変化する「生きた英語」を学ぶには英語ネイティブが最適と言えます。
英語ネイティブの自然な速さとイントネーションに慣れることができる
英語の映画やドラマ、実際に英語ネイティブと会話をする等、英語ネイティブの英語を聞くと、その速さに驚きます。
すでに知っている表現でも、速くて聞き取れないことも多いのです。
そして聞き取れない要因は速さだけでなく、発話の中で連結(リンキング)や脱落(ディダクション)などの音声変化が起きていて、単語単語を聞き取ることができないのも大きな原因です。
英語ネィティブから学ぶと、この速さと音声変化にも慣れることができます。
また英語は単語のストレス(強勢)の位置が大変重要です。単語のストレスの位置が違うだけで伝わらないことがあるほどです。
この単語のストレスと音の強弱によるリズム感とイントネーションは、発音の正確さと流暢さに大きく影響があります。
英語ネイティブから学ぶことで、これら自然なリズム感とインテネーションを学び実践することができます。
英語ネイティブに学ぶデメリット
英語ネイティブに学ぶデメリットは以下のような点が挙げられます。
- 英語学習者の分からないポイントが理解できないことがある
- 細かな英語の文法やルールなどを説明できないことも多い
- 英語の授業の単価が総じて高い
英語を自然と習得した英語ネイティブは、英語学習者の「分からない」が分からない人が多くいます。
なぜ冠詞が分からないのか、文型や、形容詞の位置などなど、たくさんの文法ルール、単語、発音など、外国語の学習では多くのことを学ばないといけませんが、その言葉を自然に習得したネイティブにとっては、学習者が理解できないポイントや、理解できない思考回路を理解することがなかなか難しいのです。
さらには、英語の文法や発音を自然と習得したため、英語の文法ルールや発音、音声変化について、そのメカニズムを説明できないことも多くあります。
例えば、YouTubeに公開されている動画で、英語ネイティブに冠詞の「The」の発音で、「ザ(ðə)」と発音する時と「ジ(ðiː)」と発音する時の使い分け方について、どういうルールなのかを知っているかを検証した動画では、5人中4人がルールについて明確に答えることができませんでした。
このようなルールは、英語ネイティブは自然と身につけて無意識に使っているため、英語学習者が質問をした時に答えられないのです。
特に基礎構築の段階の英語学習者にとっては、英語ネイティブから学ぶことは必ずしも効率的な学び方ではなく、遠回りをするものとも言えます。
その他、オンライン英会話などのサービスを利用する場合、ネイティブスピーカーとの授業は単価が高く、気軽に何回もというわけにはいかない点もデメリットと言えます。
非英語ネイティブに学ぶメリット・デメリット
英語を学ぶ際には、英語ネイティブからだけではなく、非英語ネイティブから学ぶことも多くあります。
日本人の英語講師(教師)も、非英語ネイティブですので、日本人のほぼ全員がすでに非英語ネイティブから学んだ経験があると言っても良いでしょう。
ただし、日本人の英語学習者が日本人英語講師から学ぶ事と、日本人英語学習者が、外国人の非ネイティブ英語講師から学ぶ事は意味合いが違ってくるので、ここでは日本人の英語講師以外の非英語ネイティブから学ぶメリット、デメリットについて解説します。
非英語ネイティブに学ぶメリット
非英語ネイティブに学ぶメリットは以下のような点が挙げられます。
- 英語の文法や発音のルールを理論的に説明ができる
- 英語で理解できないポイントを理解している
- 英語学習者の「分からない」気持ちを理解できる
- 英語ネイティブより授業料がリーズナブル
英語の文法や発音のルールを理論的に説明ができる
非英語ネイティブの講師や教師から学ぶ場合、何よりも彼らが多くの英語学習者と同じように、英語を勉強して習得している点が、英語ネイティブとは大きく違う点です。
日本人の英語学習者と同じように、基礎文法から単語、発音など英語を学習してきた非ネイティブの場合、英語学習者の文法や英語に関する疑問に対して、「理屈」で説明ができます。
前述の冠詞「The」の発音の使い分けは、日本でも「The」のあとに子音の音が来る時には「ザ(ðə)」、母音の音が「ジ(ðiː)」と発音すると、中学校英語で学びます。
このようなネイティブが意識せずに使っている文法や発音ルールのさまざまに非ネイティブは疑問を抱くのですが、これらの疑問に理論的に答えてもらえるのは、学習を通して英語を習得した非英語ネイティブから学ぶ大きなメリットです。
英語の理解できないポイントを理解している
自身も勉強を通して英語を学んだ非英語ネイティブは、学習者がつまずきやすいポイントや、より強化すべきポイントがわかっています。
文法事項で間違いやすいポイントや、発音の弱点など、理解できないポイント、つまずきやすいポイントを押さえているので、効果的に英語を伸ばせるようにアシストしてくれるのです。
英語学習者の「分からない」気持ちを理解できる
英語を勉強を通して学んだ非英語ネイティブの講師は、自身も英語の学習で試行錯誤してきた人たちです。
時に理解できなかったり、伸び悩む多くの英語学習者と同じ道を通り、そしてくぐり抜けてきた人たちです。
そのため英語学習者の悩みや気持ちを理解し共感できる点は、非ネイティブ英語講師から学ぶメリットのひとつです。
英語の学習は時に苦しい時もありますが、非英語ネイティブの講師はそれを理解し一緒に乗り越える伴走者になってくれるので、英語学習者の学習継続のモチベーション維持にもメリットがあります。
授業料がリーズナブル(特にフィリピン人講師)
オンライン英会話の講師にフィリピン人講師が採用されている場合、英語ネイティブの講師に比べて総じて授業料が安価です。
上記のようなメリットを持ち、トレーニングを受けた英語講師との授業が大変リーズナブルに受けられるので、大きな負担なく英語の学習ができるのも大きなメリットと言えます。
英語ネイティブとの授業で同じ価格帯だと、回数が少なかったり、大人数のグループ授業になったりしますが、フィリピン人講師だと同じ料金でたくさんの授業が、マンツーマンで受けられます。
このコストパフォーマンスが実現できるのも、フィリピン人に代表される非英語ネイティブから学ぶメリットです。
非英語ネイティブに学ぶデメリット
非英語ネイティブに学ぶデメリットは以下のような点が挙げられます。
- 講師が使う英語表現や語彙が英語ネイティブに比べて限定的
- 母国語アクセントの訛りが気になる人もいる
- 英語ネイティブに比べて話すスピードがゆっくり
- 教育水準が低く、政治や経済、ビジネスなどの話題に疎い可能性
非英語ネイティブから学ぶ場合は、英語ネイティブではない点でのデメリットがあります。
特に英語の表現や語彙はネイティブに比べると限定的と言わざるをえません。また表現方法が教科書的で、「正しい」英語であるため、ネイティブとカジュアルに話す時の英語を学ぶには向きません。
また第二外国語として学習を通して習得しているので、母語のアクセントの影響や、非ネイティブのイントネーションが残っている場合があります。
話すスピードも比較的ゆっくりで、連結(リンキング)や脱落(ディダクション)などは使用しないことが多く、発音がはっきりしてて理解しやすいというメリットの反面、実際に英語ネイティブと話すと速過ぎてついていけない、理解ができないことが多くあるため、この点はデメリットとなります。
また、新興国の講師の場合は、どうしても学力や社会経験の問題から、政治や経済、ビジネスなどの話題に疎い可能性もあるので、注意が必要です。
非英語ネイティブの中ではフィリピン人が最強クラス
現在、非英語ネイティブの英語講師の中で、フィリピン人の英語講師は世界的に認知されつつあります。
特にアジア地域では、フィリピンへの語学留学が認知されており、各国の語学学校の講師にフィリピン人講師が採用されていることも多いことから、フィリピン人英語講師はすでに広く認知されていると言って良いでしょう。
そんなフィリピン人ですが、彼らの実際の英語力とはどれほどなのでしょうか。
ここではフィリピン人の実際の英語力について検証します。
フィリピン人のビジネス英語スキル
英語関連の機関で出している、世界各国の英語力のランキングで、フィリピンは英語力上位の常連です。
世界最大級の語学学校EF Education Firstが出している2020年の英語能力指数ランキング(EF English Proficiency Indec)で、フィリピンは世界100カ国中27位にランキングしており、能力レベルでは「High Proficiency(高い)」と評価されています。
フィリピンはアジアの中でのランキングでは、アジア24カ国中、シンガポール(世界10位)に次ぎ、第2位と評価されています。
ちなみに日本は同ランキングでは55位で、能力レベルは「Low Proficiency(低い)」、アジアでは9位と評価されています。
このテストでは世界100カ国、220万人のテスト結果を元に作成されているもので、フィリピン人が世界でも上位の英語力を持っていることを証明しています。
その他、2012年にGlobalEnglish Corporation(現在はLearnship Corporationに買収)が発表したビジネス英語能力評価ランキングでは、ヨーロッパ諸国はもちろん、アメリカやイギリス、オーストラリアなどの英語ネイティブ国家を抑え、76カ国中堂々の1位と評価されています。
なぜフィリピンがビジネス英語で高い評価を出せるかと考察してみると、ビジネスで使われる英語は基本的にフォーマルで、文法的に正しい英語が求められることで、教科書的に正しい文法と、高度な語彙力を持つフィリピン人のビジネス英語能力が高く評価されていることが大きな要因と言えるでしょう。
英語が公用語? 学校教育での英語は?
このフィリピン人の高い英語力はどのように習得されたものなのでしょうか。その秘密を探ってみましょう。
フィリピンでは英語が公用語
フィリピンでは英語が公用語として制定されています。
以下、現行のフィリピン憲法の「言語」セクションの条文(一部抜粋)です。
LANGUAGE
Section 6. The national language of the Philippines is Filipino. As it evolves, it shall be further developed and enriched on the basis of existing Philippine and other languages.
Subject to provisions of law and as the Congress may deem appropriate, the Government shall take steps to initiate and sustain the use of Filipino as a medium of official communication and as language of instruction in the educational system.
Section 7. For purposes of communication and instruction, the official languages of the Philippines are Filipino and, until otherwise provided by law, English.
引用元:THE 1987 CONSTITUTION OF THE REPUBLIC OF THE PHILIPPINES – ARTICLE XIV
フィリピンでは、国語がフィリピン語(Filipino)、そしてコミュニケーションや教育のための公用語にフィリピノ語と英語が制定されています。
ちなみにフィリピノ語とは、ほぼタガログ語と変わりないものです。
なぜフィリピノ語という国語がありながら、英語を公用語として制定しているのでしょうか。
それは、フィリピンが約7,700の島からなる群島国家であり、島や地域ごとに完全に違う言語を話す人々が住む国で、皆が理解できる共通言語が必要だからです。
フィリピノ語=タガログ語は、マニラを含むルソン島南部を中心とした地域で主に話される言葉であり、多くの英語学校やオンライン英会話プロバイダーがあるセブ島のあるビサヤ地域ではセブアノ語、ルソン島北部はイロカノ語など、80前後の言語があります。
これらの言語は日本で言う「東京弁」と「関西弁」くらいの違いどころではなく、お互いの意思疎通が困難なほど違う言語なのです。
これら違う言語を持つ人々との共通のコミュニケーション手段として、公用語として英語が採用されているのです。
そのため法律、学校、教育、ビジネス、医療などのあらゆる場所で英語が使用されています。
法律や法令、政府からの発表などの公文書、契約書、街の看板から飲食店のメニューに至るまで、英語に触れない日はないほど、フィリピンでは英語が日常の一部にあるのです。
フィリピンの学校教育での英語
フィリピンを訪問する外国人が驚くことのひとつが、タクシードライバーを始め、普通のローカルの人でも、基本的な英語を理解し、コミュニケーションが取れることです。
英語ネイティブ以外の国で、英語ができる国とされている国でも、街の小さな商店やタクシーなどでは英語が通じないということがよくありますが、フィリピンでは一般的にどこに行っても英語での意思疎通が可能なことに驚く人が多いのです。
このようにどこに行っても英語での意思疎通が可能な理由のひとつは、学校教育にあります。
フィリピンでは学校の教育は、バイリンガル政策(二言語教育)が取られており、基本的に英語とフィリピノ語で授業が行われています。
英語は理科や数学、英語科目で、フィリピノ語はその他の文系科目で使用すると定められています。(小学校3年までは地方言語も入る)
さらには、特に私立の学校では、幼稚園から高校卒業まで、フィリピノ語以外の教科は全て英語という所も珍しくありません。
幼稚園〜高校まで、学校教育を通して、膨大な量の英語に触れることがフィリピン人全体の高い英語力の維持に繋がっていることは間違いありません。
フィリピン人はローカルの人でも洋画を字幕なしで観る?
フィリピンでは、洋画には字幕はつきません。
テレビで放映される洋画にタガログ語の吹き替えがついていることはありますが、映画館で公開される洋画は基本全てオリジナル音声で字幕なしです。
さらに英語以外の言語の映画やドラマには英語の字幕がつきます。タガログ語ではないのです。
洋画で話される英語ネイティブの会話、発音もしっかり聞き取りができるということは、リスニング力はTOEIC満点クラスの実力です。
ローカルの普通のフィリピン人でもそれだけの英語のリスニング力を持っているということは驚きに値します。
英語講師になれるのは上位◯パーセントの選ばれし人たち
フィリピンで英語講師に応募する際には、応募要件の時点から、日本の一般的な英語講師採用基準よりも細かな採用基準が設けられています。
一般的な英語講師の応募要件は以下のようなものです。
- 4年制大学卒業必須
- 教員免許取得者は有利
- 教育学部、英文学部、マスコミ系学部出身者は有利
- 英語関連の有資格者(TESOLなど)は有利
- 英語の4技能の優秀者
まず、4年制大学の卒業は必須となるわけですが、ではフィリピンの大学及び大学院の進学と卒業の状況はどのようになるのでしょうか。
フィリピンの大学進学率
5.475% (2017年)
参照:世界銀行
フィリピンの大学及び大学院の入学者と卒業者の推移(2020年10月統計)
入学者(名) | 2015-2016 | 2016-2017 | 2017-2018 | 2018-2019 | 2019-2020 |
4,104,841 | 3,589,484 | 2,981,803 | 3,212,542 | 3,408,425 | |
卒業者(名) | 2014-2015 | 2015-2016 | 2016-2017 | 2017-2018 | 2018-2019 |
632,076 | 645,973 | 703,327 | 751,310 | 796,576 |
(フィリピン高等教育委員会のデータより、独自に作成)
フィリピンの教育関連学科の入学者と卒業者の推移
入学者(名) | 2015-2016 | 2016-2017 | 2017-2018 | 2018-2019 | 2019-2020 |
791,284 | 740,713 | 639,063 | 653,207 | 671,421 | |
卒業者(名) | 2014-2015 | 2015-2016 | 2016-2017 | 2017-2018 | 2018-2019 |
110,320 | 118,567 | 138,496 | 162,900 | 169,832 |
(フィリピン高等教育委員会CHEDのデータより、独自に作成)
おおよそ毎年300万人強が大学に入学しながら、卒業しているのが70万人前後と大学卒業率は25%に満たないのです。
英語講師として採用されやすい教育学科関連の学部でも、卒業者は入学者の25%に満たない数字になります。
そもそもフィリピンでは小学校の修了率がおおよそ80%、中学・高校の修了率が70%と言われており、それらから考えると、大学及び大学院を卒業して、英語講師として「応募ができる資格」が得られるのは、全体の5%に満たない人たちとなります。
そこから採用試験、面接、デモレッスンを行い、トレーニングに参加し、晴れて講師として働くようになります。
それらの過程から、英語講師になれるのは、上位1%にも満たないと言えるでしょう。
このように英語講師は、フィリピン人にとって狭き門なのです。
(ちなみに、日本の大学の学部進学率は53.7%で、大学卒業率は90%程度と推計されています。文科省統計より)
フィリピン人の英語の特徴や訛りは?
フィリピン人講師とのオンライン英会話を検討する人が気になるのは、フィリピン人の英語の「訛り」やフィリピン人の英語力は実際大丈夫なのか?という事ではないでしょうか。
フィリピン人の英語力、訛りについて解説します。
アメリカ英語をベースとしたフィリピンの英語
まずフィリピン人の英語はアメリカ英語がベースです。
それはフィリピンに英語が広まったのがアメリカ植民地時代であることが大きな理由と言えるでしょう。
フィリピンは1898年〜1946年の間、アメリカの植民地となっていました。(1942年〜1945年は日本が占領)
当時アメリカはフィリピン全土に多くの学校を建設し、アメリカから英語教師を送って英語教育を行ったことで、アメリカ英語が浸透したのです。
このように基本的な英単語や発音はアメリカ英語をベースとしているため、同じくアメリカ英語が基準になっている日本の英語教育を受けてきた日本人の英語学習者にも馴染みやすい英語を使います。
全世界的にもアメリカ英語が使われることが多いので、フィリピン人の英語はどこに行っても馴染みやすいのです。
一方でフィリピン人独特の言い回しや単語なども使われます。
例えばトイレのことをCR(シーアール:Comfort Roomの略)、「すみません、通ります」という意味でのexcuse meを「excuse(meが入らない)」と言ったりします。
ただしフィリピン人の英語講師は、これらは現地での言い回しであることを知っているので、授業ではこれらの言葉は使われず、アメリカ英語に則した英語を使用するのが基本です。
スラングなどの汚い表現は一切使用されない
フィリピン人は、基本的に教科書通りの正しい英語を使います。
そのため、スラングや、流行り言葉などは基本的に使いません。
その他英語ネイティブが多用する熟語などもあまり使わず、英語の教科書に出てくる単語と文法の英語を使用します。
フィリピン人の発音や、話が理解しやすいという話をよく聞きますが、スラングや口語的な熟語を多用しないのも聞き取りしやすい要因のひとつです。
フィリピン人講師の英語は聞き取りやすいため、英語を聴き、話すことに不慣れであったり、苦手意識を持つ英語学習者でも聞き取り、会話の練習をしやすいのです。
【発音】アクセントは◎、イントネーションは△
フィリピン人とのオンライン英会話、フィリピンへの語学留学などを検討する中で、一番多い質問がフィリピン人の発音です。
「フィリピン人の英語は訛っているのではないか」
「フィリピン人から習うことで、フィリピン人英語の訛りが移ってしまうのではないか」
という疑問の声がよく聞かれます。
確かに一般的なフィリピン人の英語の発音には、英語ネイティブとは違う発音をする音や、苦手な音があります。
一般的なフィリピン人の英語には以下のような特徴があります。
- R音(巻き舌の音)をより強く発音する傾向がある
- R音(巻き舌の音)がスペイン語のRR(舌先を震えさせてルルルとなる音)になることがある。
- 子音「F」を「P」で発音する(例)Family[fæm.əl.i]をパミリー[ˈpɐmili] や [ˈpamili]
- 子音「V」を「B」で発音する(例)Vehicle[ˈviː.ə.kəl]をビークル[ˈbɛhikɛl] や [ˈbɛhikol]
その他、人によって単語の発音が違うものや、ceremony[ˈser.ə.mə.ni]を[sɛREmoni]というなど、スペイン語の影響で単語のストレス箇所が違う単語例もありますが、上記が代表的な例と言えます。
発音の訛りとしては、驚くほど少ないのではないでしょうか。
特に上記は一般的なフィリピン人の英語の訛りの特徴で、フィリピン人英語講師はこれらの発音がフィリピン人独特なものであることを理解し、発音トレーニングを行い、矯正しています。
そのため、上記のような発音をするフィリピン人講師は大変少ないと言えます。(ただしR音に関しては強いと感じる人も多いでしょう)
それでも、フィリピン人の英語を聞くと、アメリカ人などの英語ネイティブとはやはり少し違うと感じる人も多いでしょう。
実はそれは、単語のアクセントの問題ではなく、英語の発音の際に単語単語をはっきり発音すること、文章中に強弱をつけて発音するリズム感が英語ネイティブに比べて弱いことで、英語ネイティブのような流れる音楽のような英語として聞こえないことが主要な原因なのです。
上記をまとめると、フィリピン人講師の発音は、「アクセント」は◎、「イントネーション」は△であると言えます。
イントネーションが英語ネイティブとは違うとは言え、発音はクリアで、リンキングなどの音声変化は多用しないので、フィリピン人の英語は大変聞き取りやすいのです。
この点で、聞き取りに苦手意識を持っている人にも分かりやすく、コミュニケーションが取りやすいというメリットもあります。
オンライン英会話をアウトプットの場として活用する中では、相手の言っていることを理解した上で自身の話をできるので、このイントネーションの違いよりも、フィリピン人英語講師から得られるメリットの方がより大きいと言えます。
また、訛りが移ってしまうのでは、と心配する人も多いのですが、例えば大人になってからアメリカ移住してもう20年以上住んでいるという人でも、日本語訛りが抜けない人が大勢いることからも分かるように、母語が確定している人たちは、簡単には母語のアクセントは抜けないものです。
たしかに日本語訛りのままだと通じにくいですが、オンライン英会話では、その日本人訛りの英語を聞いて、理解できる英語に発音矯正することも可能なのです。
簡単に移るものでもない英語の発音を気にするよりも、最高のアウトプットの場であるオンライン英会話を利用して、英語のスピーキング力、語彙力を伸ばしていけるメリットの方が断然に大きいと言えます。
オンライン英会話の際に気を付けるべきポイント
オンライン英会話でフィリピン人講師とレッスンを進める際に、授業をより効果的に進められるようにするためにいくつかの注意点があります。
これを押さえておくと、オンライン英会話の効果がより上がります。
「非ネイティブ=英語学習の成功者」ということ
まずはフィリピン人講師を始めとして非英語ネイティブの英語講師は、自身も英語学習の成功者です。
英語学習の成功の先達として、リスペクトを持って授業に臨みましょう。
また一方で、これは英語ネイティブもそうですが、英語がある程度習得できていても、知識としての文法や、語彙などを、英語講師も日々勉強し学んでいます。
授業をする中で、お互いが気持ちよく授業が続けられるよう、礼節を保って授業に臨みましょう。
ホスピタリティがありすぎるのが玉にきず?
フィリピン人は、基本的に陽気で明るく、優しい国民性です。
看護や介護、ホテルや飲食など、世界のホスピタリティ業界にフィリピン人が多いのも、その国民性にホスピタリティ業界がマッチしているのも大きな理由のひとつでしょう。
英語講師としてもこのホスピタリティは重要で、受講者の英語力向上のために、親身になって取り組む英語講師が多くいます。
しかしそのホスピタリティが時にマイナスに働くこともあります。例えば、優しさゆえに、間違いを指摘する時に、受講者に遠慮してしまう場面が見られます。
しかし英語学習者としては、間違いを指摘してもらうことで、自身の間違いや弱点を認識し改善することでより英語力を伸ばしていけるので、フィリピン人講師には、授業中は間違いを遠慮なく指摘してもらえるように伝えておくと良いでしょう。
受け身にならずにクラスの進め方を提案していこう
授業では、自ら提案や意見を出して進めていくとより効果的です。
オンライン英会話では、独自カリキュラムと教材がある場合が多いですが、それらを漫然と進めるのではなく、自身が課題に思っていることを授業で実践し、伸ばしていけるように内容を提案できると、授業がより内容のあるものになるでしょう。
オンライン英会話授業は、最高のアウトプットの時間です。
受講者が受け身の姿勢だと、講師も場を繋ぐために、色々と話をしてしまい、結局受講者は聞き役になっているという場合も少なくありません。
オンライン英会話授業では、自身で積極的に話をしていきましょう。
特にその日に話したい内容、話題、単語や言い回しを事前に用意して、授業中に自身の言葉で実践できるようにすると、語彙力と表現力の向上に大いに役立ちます。
講師には、自分の要望、希望を遠慮なく伝え、主体的に授業の進め方を提案するようにすると、授業がより内容のあるものになります。
まとめ:TOEIC800点以下なら、フィリピン人講師の方が良い!
仕事や転職、キャリアアップ、趣味など、英語の習得を目指して、現在勉強中の人、これから始めようとしている人たちが一度は検討するであろうオンライン英会話の講師の大部分はフィリピン人の英語講師です。
フィリピンはアメリカの植民地時代から英語が浸透し、また80前後の言語が混在する国内事情から、それぞれの話者が意思疎通ができるように公用語として英語が使用されています。
ビジネス、教育、行政、医療、娯楽など、社会全体で英語が広く使われています。
その英語力を武器に、全世界向けの英語コールセンター、ソフトウェア開発などのBPO産業が盛んであり、ビジネスレベルで活躍できる世界でも上位の英語力を誇ります。
フィリピン人英語講師は、高い英語力とホスピタリティ、英語の学習過程を経て英語を習得した英語学習者としての経験、そして英語ネイティブに比べて格安の費用で多くの授業が受けられるのが、フィリピン人講師とのオンライン英会話の大きなメリットです。
フィリピン人講師は一般的に、語彙や表現はどちらかというと教科書的で、発音はネイティブに比べてリズム感はあまりありません。単語単語をクリアに発音するので、特に聞き取りが苦手な人や、英語初級・中級者には聞き取りやすい発音です。
オンライン英会話を始める前は、フィリピン人講師の発音や訛りが心配で、利用を躊躇する人もいますが、実際には、発音は大変クリアで、かつ聞き取りが無理なくできるので、スムーズな会話のキャッチボールができ、スピーキングへの慣れと瞬発力を鍛えられるのがフィリピン人講師とのオンライン英会話です。
特に英語の基礎構築段階の英語初心者や、知識はあってもスピーキングに慣れていないという段階の英語学習者には、英語ネイティブと発音が多少違うことのデメリットよりも、メリットの方が断然大きいと言えるのです。
TOEIC800点以下の人は、フィリピン人講師とのオンライン英会話が、英語ネイティブよりも効果が高いと言えます。
一方、非英語ネイティブであるので、語彙や表現の幅が広くなく、スラングや慣用句などは多用せず教科書的な英語を使うことと、発話ではリンキングなどの音声変化はあまり使われないため、基礎英語力があり、ある程度発話はできて、英語の表現の幅を広げ、ネイティブとのカジュアルに会話ができるようになりたい、という英語上級者には物足りなく感じるかもしれません。
オンライン英会話は最高のアウトプット練習の場です。
自身の英語レベルや目的に合わせて、英語ネイティブとのオンライン英会話にするのか、非英語ネイティブとのオンライン英会話にするのかを選択し、効果的に英語力を伸ばしていきましょう。
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