海外企業との商談が当たり前となっている昨今、海外サイトからの情報収集(Web検索)や海外製品の仕様書の読み取り、メールのやり取りなど、ビジネスシーンで英語リーディング力は欠かせません。
英語の4技能の中でも、リーディングはビジネスでよく使われる技能であり、社会人としてスキルアップが求められている技能ではないでしょうか。
そこで今回は、忙しいビジネスパーソンでも取り組めるリーディング勉強法についてご紹介します。
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英語のスキルを総合的にアップさせたいのなら、インプットは欠かせません。特に、英語をひとかたまりの文章でとらえるリーディングの学習は必須です。
リーディング学習はある程度まとまった時間をとる必要があり、単語帳での学習のように細切れ時間でこなすことは難しいですが、メリットはたくさんあります。
ここでは特に重要な3つのメリットについて解説していきます。
単語帳は単語や語彙を単体で覚えていくため、実際に文章でどう使われているか?まで踏み込んで学習することはなかなか難しいです。
一方、リーディング学習では、単語や表現が使われた文章、文脈や背景などとセットで覚えられるので、記憶に残りやすく、より実践的に身につきます。
そもそも英語に触れる機会を増やさないことには、英語力の向上は見込めません。
リーディング学習で英語の文章や表現に慣れ親しむことで、自然と「英語らしい」表現、文章の組み立て方が知らず知らずのうちにストックされます。
それは自分で英文を構成する場合にも役に立ちますから、ライティング力の向上にもつながるのです。
日本語だけでなく英語で情報収集ができると、アクセスできる内容が莫大に増加します。
海外発の情報は日本に入って翻訳されるまでのタイムラグがありますし、ジャンルによっては日本語訳が出ない文献もたくさんあります。
英語で情報が取れるというだけで、(日本語訳されていない)ローカルな観光地情報もチェックできるようになりますし、優位に情報収集ができるようになります。
日本語と英語は言語学的にも共通点が非常に少ない言語同士です。そのため、発音はもちろんのこと、文章の語順も全く異なります。
リーディングを早くかつ正確に行うためには、その違いを認識して、英語を英語のまま理解する、読むための「回路」を構築しなくてはいけません。
英語リーディングを始めるにあたり、まず最初に知っておくべきポイントを2つお伝えします。
まずは日本語と英語の文章構造の違いを認識しましょう。
英語の文章構成は、まず結論から始まります。言いたいことを最初に伝え、後から根拠となる内容や事例を挙げていくのです。
日本語のように説明や根拠から入って、最後に結論をもってくる形とは全く逆です。
この構造が分かれば、英語リーディング迷子になることはありません。
「スキャニング」と「スキミング」のスキルを使うことで、より英語リーディングのスピードアップが実現できます。
スキャニングは、文章全体から「これ!」という特定の情報を見つけ出すためのスキルです。文章をはじめから読み進めなくても、欲しい情報をピンポイントでスグ見つけることができるようになります。
例えば、電子レンジが止まり「E13」という表示が液晶画面に出た場合、あなたはきっと取扱説明書の「エラー表示メッセージ一覧」や「E13が出た場合の対処法」といった表記を探すことでしょう。
つまり、説明書の1ページ目から順に読んでいくのではなく、必要な情報を取りに行っているはずです。これがスキャニングです。
一方、スキミングは、特定の情報ではなく、文章全体の内容を把握、要点をまとめるスキルです。何を目的とした文章なのか?などを素早く把握することができます
英語の文章は構造上、冒頭に「言いたいこと」が書かれていることが多いので、そこをピックアップしていけば、概略を把握することが可能です。
英語の文章の構成要素について、さらに詳しくみていきましょう。
これらを理解すれば「どこを重点的に読めばいいのか?」も容易に見つけられるので、文章を一字一句くまなく読まずとも、ポイントを押さえて内容を把握できるようになりますよ。
英語の文章構成では、1パラグラフ(段落)にひとつのトピックがルールとなっており、その文をトピック・センテンスと読んでいます。
パラグラフで一番伝えたいことがトピック・センテンスとなるので、ここを押さえると「何が言いたいか?」が容易に把握できます。
その名の通り、トピック・センテンスを下支えする文章が、サポート・センテンスです。
トピック・センテンスで主張した内容の根拠や理由を示したり、具体例を出したりして読み手に説明する文章です。
トピック・センテンスの「伝えたいこと」について、さらに念押しするときに用いられるのがコンクルーディング・センテンスです。
トピック・センテンスの内容を別の表現で記載することで、再度、強調する役割を担っています。
トピック・センテンスを探すのに役に立つのが、ディスコース・マーカーと呼ばれる、接続詞など文章を展開する時に使用される単語です。
このディスコース・マーカーを拾っていくことによって、筆者が何を伝えたいのか、どんな論理を展開しているのか?など、文章全体の流れを読み解くことが出来るのです。
英語の回路を構築するには、いかに継続的に英語に触れられるか?が重要です。歯を磨くように習慣するコツをお伝えします。
TOEICを受験するからといって、やみくもに問題集に載っている文章ばかり読んでいては、飽きがきてしまったり、モチベーションが低いときには取り組めなかったりと、なかなか続かないものです。
まずは興味のあるジャンル、サッカーが好きなら海外サッカー情報、演劇が好きならブロードウェイの講演情報を読むことから始めて、徐々に範囲を広げていきましょう。
日本企業の海外サイトだって、恋愛小説だって、なんでもOKです。とにかく英語に触れる時間を増やしましょう。
オーディオブックとは、本を朗読したものなど本の内容を聞くツールで、いわゆる「聞く本」です。
忙しいビジネスパーソンにとって、リスニング力とリーディング力の両方を鍛えることができるツールはとても重宝します。
さらに目と耳を同時に使うことは、単語のつづりと発音、つまり、文字と音声とを瞬時に結びつける訓練になります。単語を見てパッと発音が出てくれば、読むスピードは格段にあがります。
文字と発音に意識を向ける必要がなくなると、「何が言いたいか?」という内容把握に意識を集中できるので、結果として英語回路の構築、強化につながるのです。
リーディング力の向上は1日にしてならずですが、手当たり次第に取り組んでも意味がありません。ここでは、おススメの学習法についてお伝えします。
とにもかくにも、英語に慣れることが大事。多読をして英語の文章に慣れていきましょう。
多読では、ご自身が楽しめるものを選んで、とにかく量をたくさん読んでいくことが重要です。逆に、難しすぎる文章はNGです。
英文をたくさん読むことで自然と英語力はついていきますから、「合わない」本は潔く選択肢から外しましょう。
なお、多読には大きく3つのルールがありますので、ご紹介しておきます。
英語を英語のまま読みすすめること、これが基本です。英語に慣れることが目的ですから、意味はざっくり取れればOKです。
多読では分からない単語があっても読み進めていきます。辞書を使ってしまうと、読書のリズムが乱れてしまいますし、読書自体を楽しめません。
単語の意味は、案外、前後の文脈で推測できるものです。なんとなく「これかな?」という意味の把握で問題ありません。
英語に慣れるために多読しているのですから、英語は英語で理解するのがベストです。どうしても意味を把握したい場合は、できる限り、英英辞典を使うようにしましょう。
多読で英語の文章に慣れてきたら、音読にも挑戦してみましょう。
音読には「スラッシュ・リーディング」や「オーバー・ラッピング」で練習するのをおススメします。
英語を英語の語順で、意味のかたまりごと英文を区切りながら音読する方法が「スラッシュ・リーディング」です。
「オーバー・ラッピング」は、音声を聞きながら英文を目で追いながら、音声とほぼ同時に音読していく方法です。そのため、英文に加えて音声が必要です。
「スラッシュ・リーディング」と「オーバー・ラッピング」はそれぞれ組み合わせて実践することで、より効果的なリーディング力のアップが見込めます。
まずは、文章の構造や意味を理解しながら読みすすめる「スラッシュ・リーディング」でトレーニングをします。
意味がスムーズに捉えることができるようになったら、今度は「オーバー・ラッピング」で英語の語順そのままで理解するスピードをアップさせていきましょう。
リーディングはとにかく「読む」「英語に慣れる」ことが欠かせません。
「読む」ことが苦行になっては続けられませんので、ご自身のレベルに合った「無理なく読める」適切な文章を選ぶことが重要です。
リーディングの練習にはどんな本を選べばいいのでしょうか。初級、中級者う書籍の選び方についてご紹介します。
英語を学び始めたばかりの人は、語彙も文法知識もほぼありませんから、平易な文章で構成された入門者向けの教材や、日本語訳のついた文章から始めてみましょう。
もし洋書にチャレンジするのが不安ならば、英語版のマンガもオススメです。絵から話の展開が予想しやすい点で言えば、幼児向けの絵本もいいですよ。
「Who wasシリーズ」は子ども向けに書かれた伝記物の本です。分かりやすい英語で挿絵もあり、難しい表現や単語は出てきません。
興味のある人の自伝であれば、英語学習という枠を超えて「読み物」としても楽しめます。ノンフィクションを読んでみたい方にもおススメです。
繰り返しになりますが、英語に慣れるためには、とにかくたくさん読むことが重要です。
楽しみながら継続するためには、日本語版が存在する本や映画化された作品を読んでみましょう。
事前準備として、物語の展開を頭に入れてから読み始めることもできますし、読んだ後に「どんな内容だったか」の答え合わせも可能ですよ。
こちらでは、ネットで気軽に読めるニュースメディアをご紹介します。英語のレベルや扱う記事のジャンルもそれぞれですので、チェックしてご自身に合ったサイトを探してみてください。
また、日本のニュースを英語で報じているThe Japan Timesであれば、日本の文化や出来事がどんなふうに英語で表現されているのかを知るきっかけにもなりますね。
上記の他には、「スマートニュース」のアプリもおススメ! 英語ニュースのチャンネルを増やしたり、言語設定を英語に設定して使うことも可能です。
「機械翻訳が発展していくと英語の学習は不要」といった意見もありますが、実際にはその逆ではないでしょうか。
機械翻訳を利用した経験のある方ならご存じかと思いますが、機械翻訳の技術はまだ完ぺきとは言えず、人の手による手直しが必要です。
つまるところ、英語の知識をある程度持ち合わせていないと機械翻訳は使いこなせないのです。
全く英語の知識がない人が使っても遜色ないツールが出現するには、まだまだ先の話になるでしょう。
技術革新が進めば進むほど、コツコツと英語学習に取り組んで、英語を使いこなせる人の価値がさらに高まっていくのです。
海外企業とのやり取りが増えていく中、社会人として英語リーディング力の向上は欠かせないものとなっています。
求められる人材でいるためにも、コツコツと継続的に「英語に触れる」習慣を続けていきましょう。