海外駐在をすれば年収やキャリアアップにつながる? 海外駐在に向けて必要な準備、英語勉強法を解説
グローバル化が進む昨今、海外でも通用する人材になるのは多くのビジネスパーソンの夢ではないでしょうか。
そのため、海外駐在に憧れを持っている方も多いと思います。
海外駐在=年収アップ、キャリアップというイメージが世間的には強いですが、本当に海外駐在をすることで、年収もキャリアもアップするのでしょうか。
今回は、海外駐在の年収はどれくらいか、本当にキャリアアップは叶うのか、更には海外駐在のためにどのような準備をすればよいかを解説します。
Contents
海外駐在で年収はアップする?
実際に海外駐在のメンバーに選ばれると収入は上がるのでしょうか? 詳しく解説をします。
海外駐在で、年収は1.5~1.8倍になる
海外駐在をすることで年収は上がります。
赴任する国や会社によってどの程度年収がアップするかは異なりますが、平均して、1.5倍〜1.8倍に増えると考えてよいでしょう。
例えば、日本の一部上場企業で係長や主任のポストに就いている方は、700万円程度の年収をもらっている方が多いと思いますが、これらの方が海外赴任をすることで、年収は一気に1,000万以上になります。
目安としては、手取りの給与は1.5倍程度に増え、額面給与は1.8倍程度に増えると考えてよいでしょう。
なぜ、海外赴任で年収が上がるのか?
海外赴任では、会社からさまざまな手当が付与されます。
そのため、日本にいる時よりもぐっと年収がアップするのです。
一般的に付与される手当は下記の通りです。
このように、海外赴任には複数の手当がつくため、結果的に年収がアップします。ここでは、それぞれの手当の内容について触れていきたいと思います。
駐在員の給料の内訳
まず最初に、駐在員の給料は以下の2つが支給されます。
- 現地通貨で受け取る現地給料
現地の生活費に当てるための給料(海外の口座に振込) - 日本円で受け取る海外赴任手当
(日本の講座に振込)
現地通貨で受け取る給料は、購買力保証方式という、海外でも日本と同じ生活をできるだけの給料を補償するという考えに基づいて支給されます。
一方、日本の講座に振り込まれるものは、海外赴任手当やハードシップ手当などがあります。
ここからは、それぞれの手当について解説をしていきます。
海外勤務手当
海外勤務に伴う労苦を金銭で報いるための手当です。
海外駐在をしていれば、基本的に皆もらえるのが海外勤務手当で、海外勤務中の日本口座に振り込まれる給料の中では一番大きな割合を占めます。
ハードシップ手当
途上国や危険な国等に赴任する際に支給される手当です。
危険な国や不便な国での赴任に支給されます。
先進国に赴任する際には支給されないのが大半です。
役職手当
海外現地の役職に対して支払われる手当です。
- 課長:◯万円
- 部長:◯万円
- 現地法人社長:◯万円
役職によって支払われる手当は異なります。
子女教育費
お子さんも連れて海外赴任をする際に支払われる手当です。
お子さんの日本人学校やインターナショナルスクール、通信教育等相当額に対する手当が支給されます。
住宅費
現地の住宅費に関する手当です。
海外赴任に場合は、現地の住宅費の8〜9割、また会社によっては全額を負担してもらえるケースがほとんどです。
危険が伴う地域では、セキュリティが強化された安全な住宅に住めますし、家賃が日本と比較をして高額なニューヨークなどの地域でも、家賃の心配をせずに住むことができます。
その他手当
単身赴任で海外駐在する際は、単身赴任手当があります。会社によっては、現地の語学習得のための実費相当額を補助する語学手当を支給する会社もあります。
語学手当に関しては、家族の語学習得のために必要な費用も補填するケースが多いです。
税金
補助ではありませんが、税金の支払いについてはどのようになるのでしょうか?
海外駐在員は、現地の税金制度に従って納税をするため、日本の所得税や住民税を負担する必要がありません。また、赴任先で課せられる所得税についても会社が負担してくれるのが一般的です。
なぜ、海外駐在員には多くの補助が支給されるのか?
日本で就労するのと比較をして、海外ではこのように多くの補助が支給されます。
これらの補助は、「慣れない異国の地での生活や商習慣の違い等 によるストレスへの補填」をしているものです。
金銭で報いることで、現地での就労を報いているため、年収アップにつながるのです。
海外駐在はキャリアアップにつながる?
年収アップにつながる海外駐在ですが、駐在後のキャリアアップにはつながるのでしょうか?
駐在機会を最大限に生かすことで、キャリアアップは実現できる
駐在機会をしっかり生かし、成果を出すことができれば、駐在を通じてキャリアアップを実現することができます。
駐在では、多国籍のメンバーと働く機会をはじめとし、日本ではできない経験をたくさん積むことができるからです。
キャリアアップができる具体的な理由は下記の通りです。
理由① マネジメントスキルが身につく
駐在を通じて身につくことの一つは、マネジメントスキルです。
駐在で現地に赴任する場合は、大抵の場合役職が付きます。そのため、主なミッションは、現地の社員を通じて仕事の成果を出すことになります。
英語を使い、文化も背景も違う現地の社員をマネジメントするのは大変なことです。さらには、国によっては多様な国籍のメンバーで構成されたチームをマネジメントすることが求められるケースもあるでしょう。
ここで身につけたマネジメントスキルは、グローバル企業であればどこでも欲しがるスキルなので、しっかり現地のメンバーと向き合い、成果を出すことができれば、必ずスキルアップにつながります。
理由② 視野が拡がる
駐在を通じて身につくことの2つ目は、視野の拡大です。
日本以外の国で仕事をすることで、ビジネスをグローバルに動かす際に日本と各国がどのように連携していくのか、現地ではどのような問題が起きがちなのかに気付くことができます。
これらの問題を駐在先で解決することを通じて、あなたの視野は大きく拡がることでしょう。
この経験は、グローバルにビジネスを展開している企業が欲しがる経験の一つです。
理由③ メンタルタフネスが身につく
駐在先で、第一言語でない英語を使い、さまざまな問題を解決すること、また親しい友人もいない中で仕事をするのは非常に大変なことです。
そのため、アウェイな環境の中でやっていくメンタルタフネスが身につくといってよいでしょう。
ビジネス環境が複雑化している昨今、企業は、どんな環境にでも身を置いて仕事をしていける人材を欲しています。そのため、駐在先で一定期間仕事をできた人材は、メンタルが強い人材として企業から評価されます。
理由④ 英語を使って仕事をする力が身につく
日本では、英語を使って仕事をする機会があったとしても、Eメールがベースのやり取りや、たまに海外の人との会議に参加する必要がある程度というケースが多いでしょう。
しかし、駐在先では、現地社員とのコミュニケーションや取引先との商談など、全てで英語を使って仕事をすることになります。そのため、英語をツールとして使い、交渉、プレゼン、営業をする力が自然と身につきます。
これは、TOEICやVERSANTのハイスコアに勝る経験で、転職やキャリアアップ上大きく評価されるでしょう。
駐在経験は大きく評価され、転職に有利に働く
このような理由で、駐在経験は大きく企業に評価され、転職などで有利に働きます。
特に昨今は、下記の図の通りグローバル化に伴い中小企業も大企業も海外子会社を増やしているため、現地で戦略を描き、マネジメントをできるレベルの人材を欲しています。
そのため、駐在経験があり、そこで成果を出すことができた人材は大きく評価され、キャリアアップを実現できる傾向にあるのです。
参照:中小企業省
海外駐在には挑戦した方がよい?
年収アップをしたい、キャリアアップをしたいという意欲の高い方は、駐在を志すことをおすすめします。
駐在中は今までの自分の知識やスキルでは太刀打ちできないことも多く、大変なのが現状です。
ですが、駐在中に得ることができる経験はとても貴重なものですし、また年収面でも恵まれるため、駐在中にお金をためて、次のキャリアに向けたMBA留学等の投資に使った、帰国後マイホームを購入したという話もよく聞きます。
ぜひ、駐在挑戦に向けた準備を検討してみてください。
海外駐在の機会は増えている?
先ほど紹介した通り、海外現地に会社を構える企業は増えていますが、海外駐在の機会も増えているのでしょうか。
海外長期滞在者の数は増えている
下図は、外務省が調査した、日本人の海外長期滞在者数ですが、年々海外に長期滞在をする日本人は増えています。グローバル化が進むにつれて、長期に渡り海外に滞在し、プロジェクト等を遂行する機会が増えていることが理由です。
参照:MONDESTAY
海外駐在の機会は減らす傾向
海外長期滞在者は今後も拡大の傾向にあることが予測されていますが、海外駐在の機会は減少傾向にあります。
先ほど触れた通り、海外駐在は駐在員にとっては年収アップにつながりますが、さまざまな手当を会社が支給する必要があるため、会社には痛い出費になります。
そのため、昨今は、上位の職層やどうしても変えがきかないポジションの人間だけを日本から海外に駐在させ、それ以外は現地の優秀な人材を採用して賄おうという考え方の会社が多くを占めています。
駐在機会を得るためには、選ばれる人材になることが必要
駐在機会を経て年収もキャリアもアップしたいという方は、限られた駐在枠に選ばれる人材になる必要があります。そのためには、日頃から、仕事、語学の面で準備をしておくことが必要です。
海外駐在員に選抜されるために準備すべきこと
ここでは、具体的に日頃から準備をしておきたいことを紹介します。
仕事の成果×語学力×アピール力が鍵を握る
駐在員に選ばれるには、仕事の成果、語学力、会社で「駐在したい」とアピールするアピール力が必要です。
この3つを通じて会社から、「海外に駐在させることで会社にとってのメリットになる」「海外で駐在していける人材だ」ということを印象づけることが必要です。
では、それぞれどのような準備をしておけばよいのでしょうか。
仕事の成果
マネジメント力
海外駐在をすると、日本のポジションから1〜2ランク上のポジションの役割を現地で担うことが一般的です。そのため、会社が駐在員として選ぶ人材は、現地でマネジメントをできる人材を選びます。
日頃から自分がマネジメントで成果を残すこと、またはマネジメントに長けていることをアピールするとよいでしょう。
今は、まだ役職についていなくて、部下もいないという方は、OJTリーダーを引き受ける、後輩育成をする、役職にはついていないけれども意識的に組織のチームをまとめることに注力するとよいでしょう。
仕事の成果
仕事の成果はできるだけ、自分の仕事内容を具体的には把握していない第三者でも理解できるくらいの成果を出せるとよいでしょう。
例えば、営業ならば、営業目標の達成率、間接部門であれば業務改革等の社内制度における提案、エンジニアであれば具体的に改善率を数字にできるような成果を残し、相手に伝えられるようにしておくことをおすすめします。
社内表彰制度や社内のプロジェクトにも積極的に応募し、自分の成果を見える化することも有効的です。
通常、駐在員の選抜は、海外関連部門や人事部門が仕切って実施されます。大きな会社になればなるほど、海外部門や人事部門が社員の成果をしっかり把握することは難しくなるのが現状です。
上司が協力的な方の場合は、上司を通じて駐在員候補として選出されるかもしれませんが、上司が協力的でない場合は、自分で自己申告表に成果を記載したり自分の名前を社内で売ることが必要になるため、仕事の成果をしっかり見える化することが必要です。
語学力
TOEICスコア
企業選抜における語学力のアセスメント方法色々ありますが、下記の円グラフの通りTOEICを要件、参考としている企業は50%程度を占めています。
また、会社により駐在員に求めるTOEICスコアは様々ですが、平均的には、下記の図の通り、TOEIC570〜810のスコアを期待するとしている企業が多いです。
平均すると、TOEICスコア635が必要とされており、「日常生活のニーズを充足し、限定された範囲では業務上のコミュニケーションができるレベル」の英語力が必要とされています。
定性的なレベルでいうと、どの程度の英語力が必要?
では、定性的なレベルでいうとどの程度の英語力が必要なのでしょうか。必要なレベルは、駐在する国、ポジションによって大きく異なります。
現地で日本企業の顧客を相手にする場合は、そこまで高度な英語力は必要としませんが、完全に現地に根付いて顧客も外資、さらにはメンバーも日本人がいないというケースの場合は、高いビジネス英会話力が必要になります。
そのため、あなたの会社の駐在員がどのような働き方を現地でするのかを確認し、準備することをおすすめします。
最低限必要になる英語力は、「日常会話」です。
日常の様々出来事や自分の伝えたいことをしっかり聴いて伝える力があれば現地ではやっていけるでしょう。
日本にいるうちからアピールをするとすれば、英語で進む会議の場面で進んで司会進行を引き受けることや、進んで発言をすること、海外からの来客の接待などに積極的に参加するとよいでしょう。
このような役回りを引き受けることで、英語ができる人材というイメージがつきます。
アピール力
日本人が苦手とする「アピール」
自分が駐在に行きたいことをアピールするのは、一番大事な要素と言っても過言ではありません。
先ほど触れた通り、通常駐在員の選抜は、人事や海外部門によってすすめられるため、日頃から自分の名前を売っておくことが必要です。
ですが、日本人は、このアピールを苦手としている方が多いのが現状です。
自分なんか……と自分に自信を持てない方、アピールするのは美徳ではないと思っている方が多くしっかりと会社にアピールできていません。
ここでは、会社や上司によい印象を与えながらも、自分が駐在に行きたいことをアピールする方法を紹介します。
中長期のキャリアプランをしっかり立て、話をする
最近日本にも「キャリア」に関する考え方が根付いてきているため、キャリア研修orキャリア研修やキャリア申告制度などを実施している企業が増えてきています。
これらの機会を利用し、なぜ自分が海外に駐在したいのか、駐在した経験をどのように生かしたいのかを論理立てて上司や人事に説明することをおすすめします。
「駐在したい!」というだけでは、ただの主張にしか聞こえませんが、自分のキャリアの中で駐在をどう生かし、会社にどのような貢献をし、更には駐在に向けてどのような準備をしているかを話すことができれば、「しっかり物事を考えている人」という評価を受けることができ、周囲も応援をしてくれるでしょう。
会社の制度をフル活用して、アピールする
キャリアに関する制度もそうですが、最近では自己申告制度や、若手が役員層と直接話をする機会などを設けている会社も増えています。
これらの制度をフル活用し、自分が駐在に意欲的であることをしっかりアピールしましょう。
さまざまな場所で駐在したいことをアピールすることで、人事や海外部門にあなたの名前が届くことも期待できます。
このように、さまざまな機会を活用し、アピールをしていきましょう。
駐在に向けた英語力強化法
駐在に向けては、4技能すべてを高めるべし
駐在に向けては、英語力4技能と呼ばれる、読む、書く、話す、聴くの全てを高めていきましょう。
当然ですが、現地では日本で行なっているような仕事を全て英語で行いますので、4技能全てが必要とされるからです。
TOEIC L&R以外にスピーキング力を高めるテストを受けるべし
先ほど触れました通り、TOEIC L&Rは駐在員選抜の一つの指標になること、また読む力や聴く力を高めるため、TOEICL&Rのスコアアップに向けて勉強することは効果的です。
しかしながら、TOOEIC L&Rでは、日本人が苦手とするスピーキング力を高めることはできません。
スピーキング力強化に向けては、オンライン英会話の受講などさまざまな方法がありますが、スピーキング力を図るテストを一つの指標として勉強することをおすすめします。
例えば、VERSANTやTOEIC S&Wなどがスピーキング力強化の指標となるでしょう。
昨今、これらのスピーキングを図るテストを会社の中で英語力を図る指標としている企業も増えていますので、自分の勉強のマイルストーンにするだけでなく、会社にもスコアとして提出することをおすすめします。
語彙力、イディオムを増やす
語彙力やイディオムを強化することで、現地での駐在生活が格段に楽になります。語彙は、日常生活やあなたの職種や業種でよく使う単語を中心に増やしていくとよいでしょう。
日本人にとって盲点なのが、イディオムです。
現地では、日常会話を中心にイディオムが多様されますが、日本人のイディオム力は低く、イディオムでつまずくことが多いのが現状です。
例えば、「〜さんと会う」という場合、「I would hang out with 〜」という表現になります。日本人の場合は、会う=meetというイメージが強いため、はじめてこの表現を海外で耳にした際、理解できないという話をよく耳にします。
昨今はイディオムに関する書籍もたくさんでていますし、海外ドラマではイディオムが多様されているため、映画、ドラマなどを使って勉強することもおすすめです。
シャドーイングでリスニング力強化
リスニングは駐在で一番大事な要素といっても過言ではありません。顧客にしろメンバーにしろ、相手が言っていることが理解できないと仕事にならないからです。
ですが、昨今はさまざまな国の英語が入り混じっており、ある程度のリスニング力がないと、相手の英語が理解できないというケースが多々あります。
リスニング力を高めるには、シャドーイングがおすすめです。
TEDや海外ドラマなどを使い、最初は字幕をみて、最終的には字幕なしでシャドーイングをすることで、英語の音が耳に慣れてきて、リスニング力が格段に向上します。
英語の勉強は継続が大事!
英語の学習で一番大事なのが、継続です。
英語学習は、夏休みや冬休みを使った集中的な学習、土日だけの集中的な学習になってしまいがちですが、一番大事なのは毎日学習することです。
英語は言語なので、毎日少しでも英語に触れることで格段に英語力はアップします。
英語コーチングを使って毎日勉強しよう
英語学習を継続できない理由にはさまざまな理由がありますが、下記の図の通り、「時間がないこと」「英語を使わなければいけない環境にいないこと」「明確な目標がないこと」がトップ3の継続できない理由です。
この3つをある程度クリアすれば、継続的な英語学習ができると考えると、時間がない中でも、必要に迫られない中でも、学習の支援をしてくれて、且つ明確な目標やマイルストーンを一緒に作ってくれるサービスが必要です。
英語コーチングサービスは、受講者の学習目標やマイルストーンの立案から始まり、日々の学習進捗度の確認、更には効果的な学習の仕方についてもコーチングをしてくれるサービスです。
誰かが支援をしてくれていること、誰かに必ず報告をしなければいけないという環境に置かれることで、人は時間がなくても勉強をするようになります。
駐在したい、駐在をお通じて年収もキャリアもアップしたいと本気で考えている方には、英語コーチングの受講をおすすめします。
まとめ
今回は、駐在で年収やキャリアはアップするのか、駐在にはどのような準備が必要かについて紹介してきました。海外駐在は、年収上、経験上あなたを高めてくれる大きな機会です。駐在員に選出され、現地で貴重な経験を積める下準備をしましょう。
イングリードでは専属コーチによるトレーニングを実施しています
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