映画シャドーイングのやり方|場面の選び方と聞き取れないときの対処法 | イングリード

オンライン英語コーチングサービス

法人のお客様はこちらchevron_right

映画シャドーイングのやり方|場面の選び方と聞き取れないときの対処法


好きな洋画なら英語に触れる時間を楽しく増やせそうでも、セリフが速く、最初の一歩で止まってしまうことは珍しくありません。

映画を使ったシャドーイングは、映画1本を字幕なしで理解する練習ではなく、短い場面を使って英語の音と意味を結び付ける練習です。題材の選び方と進める順番を決めれば、初心者でも取り組みやすくなります。

この記事では、映画でシャドーイングを始めるための場面選び、5つの手順、聞き取れないときの調整法を解説します。

映画でシャドーイングはできる?最初に知っておきたいこと

シャドーイングとは、聞こえてくる英語を少し遅れて追いかけるように発話する練習です。

映画を使う場合も、登場人物のセリフをすべて暗記する必要はありません。短い場面の音声を聞き、セリフの意味を確認し、原音に近いリズムで声に出すことを繰り返します。

映画は、表情や場面の状況から話の流れを推測できる点が教材と異なります。

音だけでは意味を取りにくいときも、映像を手掛かりにすれば、セリフが使われている状況をつかみやすいでしょう。一方で、話者が重なったり、効果音や音楽が大きかったりする場面もあるため、最初から映画全編を追おうとしないことが大切です。

英国の国際文化交流機関であるBritish Councilは、オンライン英語学習サービスのなかで、英語の映画を見ながら話者の直後に同じことを言う方法(シャドーイング)を紹介しています。シャドーイングは、発音を整え、話し言葉に慣れるための練習として位置付けられています(参考元1)。

まずは短い会話を選び、聞く、意味を確かめる、まねるという順番で進めましょう。

シャドーイングに使う映画の場面を選ぶ4つの基準と適性チェック

映画の作品名だけで題材を決めると、好きな映画でも会話の速さや語彙の難しさに圧倒されることがあります。

最初は作品の好みより、練習に使う場面が次の条件を満たすかを見てください。

内容をすでに知っている作品・場面を選ぶ

シャドーイングにはあらすじを知っている映画や、以前に日本語で見た作品がおすすめです。

登場人物の関係や場面の目的が分かっていれば、1語ずつ日本語に直さなくても、セリフのおおまかな意味を予想しやすくなるため、英語を聞くときの負担を減らせます。

初めて見る作品を使うなら、食事の注文、自己紹介、待ち合わせなど、映像だけでも状況を理解しやすい場面が多い作品を選びましょう。複雑な事件の説明や、背景に関しての知識が必要な作品は、音を追う前に内容理解で疲れやすくなります。

短く区切った会話を選ぶ

映画1本を教材にすると、終わりが遠く感じられ、繰り返しにくくなります。

最初は短く区切った会話を選び、意味の確認から発話までを一巡させる方が続けやすいはずです。

練習範囲が短いと、前回より聞き取れた音や、口が動かなかった箇所にも気づけます。場面を短く切ることは負荷を下げるためだけではなく、どこでつまずいたかを見つけるためにも役立ちます。

英語字幕と音声を確認できる場面を選ぶ

映画を学習に使うなら、英語字幕を表示できるかを確かめておくと安心です。英語字幕は、聞こえた音がどの単語やフレーズだったのかを確認するために使えます。字幕を読むだけで終わらず、文字と実際の音の違いを見つけることが目的です。

たとえば、知っている単語なのに聞き取れなかったなら、単語そのものではなく、前後の音とのつながりや弱く発音される部分が原因かもしれません。英語字幕があれば、聞こえなかった箇所を曖昧なままにせず、次にまねる音を具体的にできます。

話者が多すぎず、効果音が大きすぎない場面を選ぶ

最初の段階では、1人か2人が交互に話す会話が向いています。

話者が同時に発話する場面や、爆発音、音楽、環境音が重なる場面は、英語の音だけに注意を向けにくいからです。

感情が大きく動く名場面は記憶に残りやすい反面、早口になったり、声が小さくなったりすることがあります。好きな場面を使いたい場合も、同じシーンのなかから聞き取りやすい1往復だけを切り出すと、練習を始めやすくなります。

判定項目使いやすい状態場面を変える目安
状況誰が誰に何を伝えているか説明できる背景知識がないと会話の目的が分からない
主な話者の声を追える複数人の声、音楽、効果音が重なってセリフを分けられない
確認手段英語字幕でセリフを確認できる字幕と実際のセリフが大きく異なり、答え合わせができない

たとえば、ホテルの受付で宿泊者が名前を伝え、スタッフが予約を確認する場面は、話者と会話の目的が明確です。一方、登場人物が一斉に話すパーティー場面は、好きな作品でも最初の教材には向きません。作品の好みと教材としての使いやすさを分けて判断しましょう。

映画でシャドーイングを始める5ステップ

練習前に教材として使える場面か判定する映画のセリフは、自然な速さ、音のつながり、口語表現が重なるため、いきなり原音を追うと苦しくなりがちです。

最初の3ステップで意味と音を確認し、4ステップ目から音声を止めずに追います。準備練習とシャドーイング本体を分けて、少しずつ原音に近づけていきましょう。

1. 映像を見て場面の意味を把握する

まずは日本語字幕を使ってもよいので、誰が誰に何を伝えているのかをつかみます。

この段階では、セリフを一言も漏らさず覚える必要はありません。登場人物の目的、感情、話題の流れが分かれば十分です。

意味が分からないまま音だけを追うと、発話はできても、何を言っているのかを考える余裕がなくなります。映像を見ながら大まかな状況を理解してから、英語の音に集中する段階へ進んでください。

候補の場面を一度再生し、次の3点を確認してください。すべて満たす場面なら練習を始め、満たさない項目があれば同じ作品の別場面を探します。

2. 英語字幕でセリフと音を照らし合わせる

次に英語字幕を表示し、聞こえなかった部分を確認します。

分からない単語やフレーズは意味を調べ、セリフ全体がどのような内容かを自分の言葉で説明できる状態を目指しましょう。

このとき、文字どおりに聞こえない箇所をメモや記憶に残しておくと効果的です。単語の最後と次の単語の最初がつながる、弱く発音される語があるなど、英語字幕と音声を見比べることで、聞き取りにくさの理由が見えてきます。

3. シャドーイングの前に、音声を止めて短いセリフをまねる

次はシャドーイング本体に入る前の準備練習です。音声を止め、1文または短いかたまりごとにセリフをまねて発話します。

発音だけでなく、どこを強く言うか、どこを短く流すか、文末を上げるか下げるかにも注意を向けてみましょう。映像の表情や感情をまねると、声の調子もつかみやすくなります。

British CouncilのIELTS受験者向け発音ガイドでは、モデル音声を止めてからまねる方法は、発音を詳しく確認したいときに向くと説明されています(参考元2)。

速さを優先する前に、原音と自分の声の違いを1つずつ確かめましょう。

4. 音声を止めずに少し遅れて追いかける

セリフの意味と音の形を確認できたら、ここからシャドーイングに移ります。音声を止めず、少し遅れて発話しましょう。

すべてを完璧に再現しようとするより、音が続く間に声を出し続けることを優先してください。途中で遅れても、止まらず次の聞こえた部分に戻る方が、原音の流れを保てます。

最初は字幕を表示したままでも構いません。ただし、文字を読むことに意識が偏るなら、短い範囲だけ字幕を消して試すなど、少しずつ音声中心に切り替えます。

自分にとって無理のない方法を選ぶことが、継続の土台になります。

5. 録音して、原音と違う箇所を1つだけ直す

自分の声を録音すると、発話中には気づかなかった差を確認できます。

聞き返すときは、発音、強弱、リズム、語尾などを一度にすべてチェックしようとしないでください。今回は語尾だけ、次回は強く言う語だけというように、直す点を1つに絞る方が、改善を続けやすくなります。

録音の目的は、原音とまったく同じ声になることではありません。

自分が聞き取れていない音や、口が動きにくい箇所を具体的に見つけ、次の反復で試すために使いましょう。

記録は、場面名、止まったセリフ、原因、次に直す点の4項目に絞ると見返しやすくなります。たとえば「ホテルの受付/予約確認の文で止まった/弱く発音された語を落とした/次回はその語の前後だけをまねる」と残します。練習回数だけではなく、何が変わったかを記録することが大切です。

同じ場面から次へ移る目安は、英語字幕を見れば内容を説明でき、字幕を消しても中心となるセリフを聞き取り、短い範囲を途中で止まらず追えることです。

3つのうち欠けるものがあれば、意味の確認、止めてまねる練習、場面の短縮のいずれかへ戻ります。この3つの基準を満たしていれば十分です。すべての音を完璧に再現できるようになるまで同じ場面を練習し続ける必要はありません。

シャドーイングの効果を最大化する具体的な方法と1セッションの長さ

イングリードではオリジナルシャドーイングアプリ「シャドミー」を利用した独自メソッドである5STEPシャドーイングを推奨しています。

5ステップシャドーイングとは、シャドーイングに必要なステップを5つの段階に分け、順番に進める学習方法です。リスニング、内容理解、音読、シンクロリーディングをした上でシャドーイングができる状態を目指します。

各ステップで「何を意識して練習するのか」が明確になっているため、自己流になりにくく、英語の音を正確に聞き取る力や、聞こえた音をスムーズに再現する力を効果的に伸ばせます。毎日30分-60分、1つの課題で2日ずつ実施して進めることで効果的に音声知覚を鍛えることができます。

映画のセリフが聞き取れないときの調整法

同じ場面を繰り返しても聞き取れないときは、練習量だけを増やす前に、どこで止まっているかを分けて考えます。英語コーチングを提供するイングリードでは、リスニングでつまずく理由を、語彙・フレーズ、英語の音を単語として捉える力、音源の速さで意味を理解する力の3つに整理しています。

原因が異なれば、映画で行う次の練習も変わります。

単語やフレーズを知らなかった場合

英語字幕を見ても意味が分からないなら、まず単語やフレーズを確認します。意味を知らないまま何度も聞いても、音と意味を結び付けることは難しいためです。

日本語訳を確認した後、セリフがどの状況で使われているかを映像と一緒に見直しましょう。

新しい表現を一度に増やしすぎないことも大切です。短い場面に出てくる、次にも使えそうな語句を数個だけ選び、意味を理解してから同じ音声に戻ると、聞こえ方の変化を確かめやすくなります。

音を単語として捉えられなかった場合

字幕を見れば知っているのに、音声だけでは分からない場合は、音のつながりや弱くなる部分に注目します。英語では、単語を1語ずつはっきり発音するとは限りません。前後の音が続いて聞こえたり、文のなかで目立たない語が短く発音されたりします。

この場合は、場面全体を何度も再生するより、聞こえなかった短い部分だけを切り出してください。原音を聞く、止めてまねる、もう一度原音に合わせるという順番を複数回繰り返すと、どの音が抜けていたのかを確かめられます。

意味が音源の速さに追いつかなかった場合

単語も音もある程度分かるのに内容が頭に残らない場合は、意味を処理する速さが追いついていない可能性があります。いったん音源を短く区切り、主語、動詞、補足の順に文の意味を確認してから、同じ範囲を聞き直しましょう。

イングリードの指導では、音を再現できる段階の後に、聞き取れた音を意味理解につなげる段階を重視しています。映画のシャドーイングでも、口が動くことだけを目標にせず、聞きながら場面の意味が浮かぶかを確認すると、次に補うべき点を見つけやすくなります。

映画シャドーイングで挫折しないための注意点

映画は楽しめる題材ですが、教材として使うなら、楽しさと難しさのバランスを取る必要があります。うまくできない日があっても、映画で英語を学ぶ方法が合わないと決めつけず、練習の単位や目的を調整してみましょう。

まず、字幕なしで映画を理解できることを最初の到達点にしないでください。字幕なしで見続けると、分からない箇所を確認できず、ただ再生回数だけが増えることがあります。内容理解には日本語字幕、セリフと音の確認には英語字幕というように、字幕の役割を分ける方が取り組みやすくなります。

また、難しい場面を何度も繰り返しても進まないときは、もっと短く、話者が少ない場面へ戻りましょう。楽しく聞ける作品であっても、早口の言い争い、専門用語の多い会話、歌が重なる場面は、最初の練習には向かないことがあります。

ディクテーションは、聞こえなかった箇所を見つけるための確認に使えます。一方で、音に少し遅れて声を出すシャドーイングとは役割が異なります。イングリードでは、ディクテーションをつまずきの発見に、シャドーイングを英語の音を追う練習として位置付けています。分からない箇所を洗い出す時間と、音をまねる時間を分けると、何のために繰り返しているのかが明確になります。

映画を使ったシャドーイングに関するよくある質問

初心者はアニメーション映画から始めてもよい?

アニメーション映画から始めても問題ありません。映像と話の流れから意味を推測しやすく、短い会話が多い作品なら、初めての題材として使いやすいでしょう。自分がすでに内容を知っている作品を選ぶことも、理解の負担を減らす方法の1つです。

ただし、アニメーションなら必ず簡単というわけではありません。歌の場面が多い、空想的な設定、話者が多くなるケースは難しくなりがちですので、まずは落ち着いた会話の一部から始めてください。

1日にどれくらい練習すればよい?

時間だけで決めるより、短い場面について、意味を確認し、声に出し、聞き直すところまで一巡できる量に絞ることをおすすめします。途中で集中が切れるほど長く続けるより、翌日も同じ場面に戻れる方が、音と意味の対応を積み重ねやすくなります。

慣れてきたら、同じ場面を字幕ありで練習する日と、字幕を消して試す日を分けてもよいでしょう。毎回のやり方を少し変えることで、自分がどの段階で止まりやすいかを確認できます。

まとめ:短い場面を選び、音と意味を結び付けよう

今回の記事では、場面選び、字幕の役割分担、聞き取れない原因別の調整法について解説しました。

映画でのシャドーイングは、作品を最後までやり切ることより、短い場面を使って音と意味を確かめることが大切です。

  • 内容を知っている作品から、短い会話を選びましょう。
  • 意味の確認には字幕を使い、音をまねる練習とは目的を分けてください。
  • 聞き取れないときは、語彙、音、意味のどこで止まっているかを確かめましょう。

まずは好きな映画から、落ち着いた短い会話を1つ選んでみてください。少しずつ再現できる箇所を増やすことが、映画を英語学習に生かす確かな一歩になります。

参考元

  1. British Council English Online「8 practical ways to practise speaking English」
  2. British Council IELTS「How to improve English pronunciation for IELTS speaking」

関連記事