英語人材の需要や転職市場をデータで紹介|優秀なグローバル人材を目指すためのヒントとは
「転職市場で英語力が有利に働く」のは本当でしょうか。
結論から言うと、ほぼ全ての職種において転職市場で英語力は有利に働きます。
それは、グローバル化で日本に進出する外資系企業や国境を越えてのビジネス展開が広がっていること、そして少子高齢化で国内のマーケットが縮小している日本企業の海外展開の加速など、グローバル化と国内の情勢でグローバルで闘うことを余儀なくされている現状があるからです。
日本企業の海外進出は年々増加し、逆に日本に進出する外資系企業や、海外企業と日本企業とのM&Aが増える中、ほとんどの会社で海外の取引先や子会社、親会社と英語でやりとりすることは当たり前になってきていますし、同僚や上司が外国人だったりするのも普通の光景になってきています。
ここでは実際に転職市場において英語人材がどのように評価されているのかを職種や職責事にデータを踏まえ紹介します。
また、英語人材として転職を成功させるためのステップについても解説します。ビジネスで通用するレベルの英語をスピーディーに習得したい方には、オーダーメイドのカリキュラムで目標達成まで導いてくれる英語コーチングが効果的です。
Contents
データで見る英語人材の転職市場での評価
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IiBC)が、企業528社と会社員466名から回答をもらった英語活用実態調査2019年版によると、今後のビジネスパーソンに重要な知識とスキルは何かという問いに対し、第1位に「英語力」が選ばれました。
また同調査で、社員に不足している・今後強化する必要がある知識やスキルについての問いに対しても「英語力」が第1位に選ばれています。
この調査から、現在でも英語力はビジネスシーンで最重要スキルのひとつでありながらも、社員のスキルが不足していると認識されているスキルであることが分かります。
ここでは、英語力があることが仕事や転職でどのように有利に働くのかをアンケート調査結果などのデータから検証していきます。
ビジネスレベル以上の英語力は仕事で優位に働く
英語力のいかんによって仕事にどのように影響があるのでしょうか。
グローバル人材に特化した人材紹介・人材派遣会社のエンワールド・ジャパンが2020年3月リリースした「英語力が仕事・転職に及ぼす影響」についての調査結果によると、英語レベルが「ビジネス」以上である人材は、実に9割以上が「仕事で英語力が優位に働いたことがある」と回答しています。
参照:エンワールド・ジャパン
英語が話せると職務や職責の範囲が広がる
具体的にどのような場面で優位に働いたのかとの質問に対し、第1位が「コミュニケーションが円滑になる」第2位が「職務や職責などの範囲が広がる」、第3位が「上司や同僚の協力が得やすい」と回答しています。
英語ができる事で仕事上での円滑な対人関係が構築され、業務の幅が広がるなど、英語中級以下の人たちよりも大幅にプラスに働いている事が分かります。
また、ビジネスレベル以上の英語力を持つ人材のうち3-4割以上が仕事の成果の向上、高評価の獲得、給与やボーナスなどで高報酬につながっていると答えており、英語力の有無が評価や収入にも影響する事が伺える結果となっています。
参照:エンワールド・ジャパン
英語中級レベルでも半数は転職に有利になった
また同調査で「転職で英語力が優位に働いたか」という質問に対し、ビジネスレベル以上は8割以上が「優位に働いた」と答えており、英語力が転職活動を成功させるために大変有用である事が伺えます。
転職時に関しては日常会話レベルである中級者でも5割は転職で優位に働いたと回答しており、英語スキルが転職市場で求められている重要スキルであるということが如実に分かる結果と言えます。
参照:エンワールド・ジャパン
英語を話せるとキャリアや仕事の選択肢が広がる
具体的に転職で英語力が優位に働いたのはどんな点か、という質問に対しては、第1位が「仕事の選択肢が広がった」、第2位が「キャリアの選択肢が広がった」、第3位が「採用の選考(書類審査・面接)を通過しやすかった」と答えています。
ここから特に採用段階で英語力の高さは転職先の会社に対し訴求力があるということがわかります。
転職をして英語を使うことができる仕事一覧
次は、必要な英語レベル別に、どんな仕事が可能なのかをみてみましょう。
基準は分かりやすくTOEICのリスニング&リーディングテストの点数を基準にしています。
TOEIC点数 | 職種 |
TOEIC 550点〜 | 一般事務(テンプレートのあるメールでの対応) 国内メーカーの物流企画 生産技術エンジニア |
TOEIC 600点〜 | 国内営業(外国人派遣等) インバウンド事業のサービススタッフ |
TOEIC 650〜 | 人事、総務、経理(大手メーカー、商社など) グローバル展開している日本国内企業の事務員 海外旅行の添乗員 旅行会社スタッフ グランドスタッフ、キャビンアテンダント |
TOEIC 700〜 | 海外製品の国内営業 IT、通信エンジニア 貿易系の事務員 |
TOEIC860〜 | 資産運用・管理(ファンドマネージャーなど) 法務・コンプライアンススタッフ 外資系の秘書 国際物流や商社の海外向け営業 |
TOEIC900〜 | 通訳・翻訳 外資系企業やグローバル企業での経営・戦略コンサルタント 国際法務、経理、M&A、広報 |
前述の一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IiBC)が発表している英語活用実態調査2019年版では、英語を使用する部署の中途採用に必要な英語力の点数の平均は620点となっており、英語力をアピールしたい場合、620点以下の点数を転職時の履歴書に書くと逆に不利になる可能性もあるので要注意です。
日本国内で英語を使って転職する場合
日本国内で英語を使って転職する場合、国内企業に行くのか、外資系企業行くのかという選択肢が出てきます。
また国内の企業でも、海外進出をしているので英語人材が必要な会社もあれば、外国人を積極採用しているため英語人材が必要な会社もあり、業種や職種も様々な選択肢があります。
ここでは日本国内で英語を使った転職をする際の職種、英語力、メリット、デメリットについて解説します。
国内の外資系企業で英語を使っての転職
「英語を使って転職」と言うと、外資系企業を最初に思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
ただ一口に外資系企業と言っても、実は資本関係や進出形態によってその形態は様々です。
外資系企業の形態は、以下の4つの会社の形態です。
- 外国企業が日本で現地法人を設立して作られた企業(外国の会社の100%子会社)
- 外国企業が日本の企業と共同出資をして作られた合弁会社
- 外国企業が日本の企業を買収し資本参加した企業
- 外国企業の日本支社・日本支店・日本事務所(法人格なし)
それぞれの形態で海外にある本社の経営方針や戦略、人事の影響の度合いが変わるので、転職前に確認しておくと良いでしょう。
ここでは一般的に外資系企業で転職できる職種や英語力の目安、メリット、デメリットについて解説します。
転職できる可能性のある職種
外資系企業とは言え、会社の機能の多くは日本にあり、各部署のポジションの多くは日本人が担っています。
そのため、外資系企業への転職で就くことのできる可能性がある職種も大多数の日本企業の職種と変わりはないと言えます。
代表的な職種としては以下のものがあります。
- 人事
- 経理・財務・会計
- 広報・マーケティング
- 営業
- 法務・コンプライアンス
- 物流・購買
- IT・Webエンジニア
転職で求められる英語力の目安
外資系企業への転職を目指すのであれば、一般的に日本企業への転職よりもより高い英語力が求められるのは異論はないところでしょう。
前出の一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IiBC)の調査によると、一般的に転職者に対して企業が求める英語力は620点となっていますが、国際部門で求められる英語力がTOEIC750点ほどであると考えると、TOEIC800点以上は取っておきたいところです。
余談ですが、転職後のオフィス環境では、外資系企業とは言っても同僚の多くは日本人で、部署によっては外国人はいないというところもあります。
また顧客が日本企業、日本人であることが大多数であるため、実際に仕事で英語を使う場面は、実は(一部を除いては)思っているほどは多くはないという声もあります。
外資系企業に転職するメリット
高い英語力が求められる外資系企業への転職のメリットはどのようなものがあるでしょうか。
外資系と言っても、形態や業種、国によって違いますが、一般的に言われているメリットは以下のようなものになります。
- 給与水準が高い
- 成果主義で実力が評価されやすく成果と能力次第で大幅な年収アップが望める
- 男女や年齢による差別がなく、平等にチャンスが与えられる
- スピーディーな意思決定と実行
- 自主性、主体性、創造性を発揮しやすい環境
- フレックスタイムなどで柔軟な働き方
- 残業がない・少ない
- 有給休暇取得率が高く、仕事と休日のオンオフがはっきりしていてワークライフバランスが充実
- 人間関係がフラットで縦割り型ではない
- グローバルなキャリア形成
- 語学力の向上、多様な文化に触れる機会がある
外資系企業に転職するデメリット
外資系企業というと高給で英語を使って仕事をしている華やかなイメージを持つ人が多いですが、それなりにデメリットもあります。
デメリットとしては以下のような点になります。
- 雇用が不安定
- 福利厚生が少ない
- 人間関係がドライ
利点は裏返すと欠点になるように、その仕事環境や企業文化が合わない場合には、他の人にはメリットでもある人にはデメリットになります。
外資系企業に転職を考えている場合は、この点もしっかり認識しておきましょう。
海外進出をする日系企業での英語を使っての転職
海外に進出する日系企業は年々増えています。
2019年11月13日発表の外務省の統計によると、海外進出をしている日本企業(現地法人化された日系企業と現地法人されていない日系企業、区分不明を含む)総数は77,651社に上り、年々増加の一途を辿っています。
海外進出をしている日本企業数はこの統計が取られた2018年のわずか5年前と比較しても実に約22%も増加しています。
参照:外務省「海外在留邦人数調査統計」
グローバル化に伴い、文化交流も盛んになった昨今では食文化やアニメなど日本文化や日本の技術が広く受け入れられ、それを求める海外の人々という新しいマーケット開拓が広がったこともあるでしょう。
しかし一方では少子高齢化が進み人口が減少し続ける中で、今までのように国内マーケットのみでの事業の維持、拡大が難しくなってきている抗えない現実があることも企業の海外進出を活発化させている要因になっています。
この流れは今後も続いていくことでしょう。
このように海外に支社や現地法人がある会社が増え、また海外に子会社や関連会社がないにしても、今やほとんどの中小企業で海外との取引があります。
現在のこの流れの中で英語人材の確保は企業としても重要な課題であるにもかかわらず、なかなか進んでいないのもまた現実です。
転職できる可能性のある職種
海外に進出をしている会社で英語を使って仕事がしたいという場合には、海外の子会社や現地法人とやりとりができる職種に就くことで英語を使う機会を作ることができます。
業種や職位にもよりますが、一般的には以下の職種は海外とのやりとりが多く発生する職種です。
- 事務
- ITコンサルタント
- 商品企画・商品開発
- 法務・コンプライアンス
- マーケティング・リサーチ
- 購買・仕入れ・商品管理
転職で求められる英語力の目安
海外進出をする日系企業で、頻繁に海外とのやりとりをする仕事の場合、ビジネスで英語を使えることをアピールすることが重要です。
TOEIC基準では700点以上あれば履歴書に書いた時に英語力のアピールにプラスに働きます。
海外進出企業に転職するメリット
海外に進出している企業に転職するメリットは一般的には以下のような点です。
- 子会社・関連会社とのやりとりで英語を使う機会がある
- 海外赴任や海外出張の機会が期待できる
- 海外での案件に携われる
- 異文化、多様な文化に触れる機会がある
海外の子会社や関連会社とのやり取りや案件に携わることで、日本だけにいるとなかなか触れられないその国の文化や商習慣などに触れ、ビジネスのノウハウを身に着けることができる機会があるのは海外進出企業の利点と言えます。
海外進出企業に転職するデメリット
海外に進出している企業に転職するデメリットは以下のような点です。
- 海外案件に携われない可能性もある
- 思っていたほど英語は使わない可能性がある
英語を使って海外とのやり取りや海外出張、海外赴任に期待して転職しても、実際にそのような案件に携われるのは一部で競争率が激しいということもあります。
転職後に期待していた職務に就けないということもあり得るのでこの点は注意が必要です。
外国人を採用している日系企業での英語を使った転職
日系企業でも外国人を積極的に雇用している企業が年々増えています。
特にIT系企業や各種ベンチャー企業では海外の優秀な人材を積極的に雇用しており、そのような企業では社内での公用語を英語にしている会社もあります。
転職できる可能性がある職種
外国人を積極的に採用している企業もオフィスは日本にある企業になるので、転職できる可能性のある職種は、一般的な日本企業の職種と変わりません。
転職者の専門とスキルに合わせて転職できると言えます。
転職で求められる英語力の目安
転職で求められる英語力は職種によりますが、外国人スタッフとのやり取りが多くなる職種は総じて高い英語力が求められます。
転職をして外国人スタッフと積極的に関わるような職種で活躍をしたいということであれば、TOEIC700点以上は必要です。
また外国人を積極的に採用している企業は全体のスムーズなコミュニケーションのため公用語を英語にしているところも多くあるため、ビジネスレベル以上が求められるケースも多いです。
外国人を採用している日系企業に転職するメリット
外国人を採用している日系企業に転職するメリットとしては以下のような点が挙げられます。
- 英語を使う機会が作れる
- 日本にいながら異文化に触れるチャンスがある
- 海外の優秀な人材と働くチャンスがある
外国人を採用している日系企業に転職するデメリット
外国人を採用している日系企業に転職するデメリットとしては以下のような点が挙げられます。
- 外国人スタッフとの関わりのない部署に配属される可能性もある
- 日本語が中心で英語を使う機会がない
- 外国人と英語を使って業務をすることを期待していたが、日本語ができる外国人しか雇用していない
英語を使うことを期待していても、日本語が主要な言語で機能している会社の場合、逆に外国人スタッフが日本語が堪能で英語を使う必要ななかったということもあり、期待とは違ったということもあるので、事前にしっかりと調査をしておきましょう。
海外で英語を使って転職する場合
グローバル化が進み、世界を舞台に活躍する人材が増える中、海外で働きたい、海外を軸として生活をしたいという人も多くなりました。
実際に外務省の2019年発表の海外在留邦人数調査統計によると、国外に在留する日本人の総数は1,390,370名で、統計を開始した昭和43年以降最多となっています。
参照:外務省「海外在留邦人数調査統計」
その中でも民間企業関係者(本人およびその家族を含む)は463,700名で、長期滞在者の53%を占めています。
国内では目立たなくても、確実に海外を舞台に働く日本人は増え続けているのです。
「海外で働く」と一口で言ってもその形態は様々です。
ここでは会社の形態ごとに海外で英語を使って転職する場合につくことのできる職種、英語力の目安、そして海外で働くことのメリットとデメリットを解説します。
日系企業の駐在員として英語を使った転職
海外に進出する企業が年々増え続ける中、現地を管理・統括して円滑に業務を進めるためには現地に派遣され駐在する人が必要です。
会社では海外に赴任できる人を選抜し現地に駐在員として派遣します。
駐在員となった場合、日本での給料に加えて駐在手当てや住居補助、家族を帯同して赴任する場合には子女の教育費補助がつくなど、海外生活に加えて待遇面でも優遇される会社が大多数です。
そのため、特に海外で仕事をしたいと思っている人の中には駐在員として赴任される可能性のある企業に転職するケースも多くあります。
転職できる可能性がある職種
転職をして駐在員を目指す場合、業種によって求められる職種は様々ですが、駐在員は日本の本社と現地のパイプ役となって現地の業務を円滑に進めることが大きな役割であるので、その業種での知識かつコミュニケーションがしっかりと取れるということが重要な要素になってきます。
もしどんな業種であっても駐在員として海外に赴任したいという人は、より海外に進出している業種に的を絞って転職活動をすると駐在員として海外赴任ができる可能性は高まるでしょう。
2019年発表の外務省の統計では、海外で展開する日系企業の業種と進出企業数、そしてその比率は以下のようになります。
業種 | 進出企業数 | 比率 |
区分不明 | 29,020 | 38.42% |
製造業 | 19,257 | 25.50% |
卸売業・小売業 | 8,386 | 11.10% |
サービス業(他に分類されないもの) | 3,282 | 4.35% |
金融業・保険業 | 2,679 | 3.55% |
運輸業、郵便業 | 2,519 | 3.34% |
情報通信業 | 1,576 | 2.09% |
宿泊業、飲食サービス業 | 1,470 | 1.95% |
建設業 | 1,356 | 1.80% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 1,280 | 1.69% |
複合サービス事業 | 810 | 1.07% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 802 | 1.06% |
不動産業、物品賃貸業 | 582 | 0.77% |
農業、林業 | 516 | 0.68% |
教育、学習支援業 | 403 | 0.53% |
分類不能の産業 | 402 | 0.53% |
医療、福祉 | 391 | 0.52% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 302 | 0.40% |
鉱業、採石業 | 288 | 0.38% |
漁業 | 121 | 0.16% |
公務(他に分類されるものを除く) | 89 | 0.12% |
総数 | 75,531 | 100.00% |
区分不明の企業を除くと、製造業が25%強で一番多く、その次に卸売業・小売業、サービス業と続きます。
これらは海外に駐在員を派遣している企業数が多いので、海外へ赴任できる可能性は高くなると言えます。
転職で求められる英語力の目安
駐在員となることを目標に転職する場合は、現地で現地スタッフと円滑にコミュニケーションが取れる英語力が必要です。
特に転職者で駐在員を目指すのであれば、日常英会話以上の英語力があることをアピールすることが重要です。
TOEICでは最低でも650点以上は必要になります。
日系企業の駐在員として転職するメリット
転職してすぐに駐在員になるという例はあまりないかもしれませんが、転職して駐在員となる場合のメリットは以下のような点が挙げられます。
- 駐在手当てや住宅、車両などの手当て、福利厚生が充実している
- 海外で英語を使って職務に当たることができる
- その国の文化や習慣を身をもって体験できる
日系企業の駐在員として転職するデメリット
駐在員は通常日本で選抜されて日本から派遣されます。
そのため、現地で採用されて、すぐに日本採用の駐在員として現地に駐在するという例は大変稀です。
現地で採用されて、その実力と実績が認められて日本採用となるケースは多々ありますが、その制度自体がない場合にはどれだけ働いても駐在員にはなれませんし、制度がある場合も日本採用が決まるまでには一定の勤務年数が必要なケースが大多数です。
そのため、駐在員になりたいからと海外にある現地の日系企業に安易に転職を試みるのは大変非効率です。
駐在員としてその国に駐在することを目指すならば、まずは日本のその企業で採用されるか、現地採用から日本採用へ切り替える制度があることを確認して転職する必要があります。
このように誰でもすぐに駐在員として転職ができるものではないことは、大きなデメリットと言えるでしょう。
欧米での英語を使った転職
欧米での転職を考える場合、武器となるのは「専門分野で秀でたスキルを持っていること」と「日本人であること」です。
ただしアジアなどの新興国とは違い、欧米では「日本人であること」と「英語ができる」だけではなかなか転職は難しいでしょう。
なぜならば欧米は以前より多くの日本人が移住しており、現地で結婚したりして婚姻ビザや永住権を持つ日本人が多くおり、「日本人」で「日本語でやりとりができ」かつ「英語ができる」人材はすでに多くいるのです。
企業ではそのような人材をわざわざ日本から採用するということはほぼないからです。
欧米での転職は仕事において十分な経験を積んだその道のプロフェッショナルな人材が求められます。
また外国人へのビザの発給要件が厳しいため、ビザを取る手間を差し引いても欲しくなる専門分野の経験とスキルが必須条件です。
社会人として年数が浅い人はよほどのスキルがない限り転職は難しい場所になります。
それでは欧米での転職について見てみましょう。
転職ができる可能性がある職種
前述したように、海外でその企業が外国人である日本人をわざわざ雇うのは、その人材でしかできないことがあるからです。
ただし欧米では「日本人」であることはあまり大きな武器にはなりません。すでに移住して永住権を持つ日本人も多くおり、そのような人材には困らないからです。
欧米での転職では、高い専門性を持ち、企業の利益創出に貢献ができる人材が求められます。
そのような意味で一般的に欧米で転職できる職種は以下のようなものが代表的です。
- 財務会計
- 経理
- マーケティング
- IT系技術者
- エンジニア
- 営業
- デザイナー
- 和食職人
欧米企業への転職を希望する場合は、ジェネラリストよりはスペシャリストとして、その人材だからこそできるというスキルがある人が有利です。
転職で求められる英語力の目安
欧米で転職をしようとする場合に求められる英語力は業種により大きく幅があります。
一般的に欧米では英語ネイティブの国であったり、そうでなくても英語力が総じて高い国が多いので、英語を使って転職をするという場合には、英語は上級であることが求められます。
TOEICでは800点以上は必要です。
ただし、特定の専門分野で突出している場合や、和食職人やスポーツ選手、デザイナーなど、自身の感性や技で勝負ができる人は、日常英会話程度でも転職ができる可能性は十分にあります。
欧米で転職するメリット
欧米で転職するメリットは以下のような点が挙げられます。
- 高い報酬
- オン・オフがはっきりしており、ワークライフバランスが充実する
- フラットな人間関係
- 長期休暇や育児休暇などが取りやすい文化
- 英語力のさらなる向上が望める
- 世界の先端技術に触れられる
- 激しい競争の中で自身のスキルのさらなる向上が望める
欧米で転職するデメリット
欧米での転職のデメリットは、以下の点が挙げられます。
- 就労ビザが下りにくい
- 「日本人」「英語力がある」だけでは転職が難しい
- グローバルな競争にさらされる
世界中から職を求めて人が集まる欧米では、グローバルで競争力のある専門性と語学力を磨いて挑戦する必要があり、その激しい競争を生き抜けるスキルと気概が必要と言えます。
アジアでの英語を使った転職
アジアでの就職も、欧米と同様に「日本人であること」と「専門分野でスキルを持っていること」が転職時の武器です。
ただし欧米に比べ職務経験やスキルの熟練度が求められないケースが多く、新卒者でも採用する企業もあり、海外就職の第一歩としては入りやすい地域とも言えます。
特にアジアは海外進出する日本企業の70%が集中する地域であり、日本企業を顧客に持つ企業が多くあります。
日本との関わりが深い地域で、「日本人」であることを生かせる仕事も多くあります。
また全体的に日本への馴染みも深く、文化や慣習が近い国も多いため、総じて過ごしやすい国が多いのも、移住を伴う転職を考えた時に適応しやすい場所だとも言えます。
転職ができる可能性がある職種
前述したように、アジアは海外進出する日本企業の70%が集まる地域です。
そのため、日本企業を顧客に持つ企業が多くあり、その企業向けの営業やカスタマーサービスなどは需要があります。
また、欧米と同じように専門分野で秀でたスキルがある場合にも、転職できる可能性が大きくなります。
特にアジアの多くの国は発展途上であり、インフラの整備や社会のあらゆる面で先進国の知識と技術が求められていますので、現地の人を教えられるような技術者の需要もあります。
一般的にアジアで求められる職種は以下のようなものです。
- 営業
- 物流
- 広報・マーケティング
- IT系技術者
- 通訳・翻訳
- カスタマーサービス
- 日本語教師
- 建築、土木、農水産業などの技術者
転職で求められる英語力の目安
アジアでの転職では場所と職種にもよりますが、総じて欧米に転職するよりは英語力のハードルは低いと言えます。
もともと英語ネイティブの国ではなく、大多数が英語は第二言語であるので、日本人にもわかりやすい平易な英語を使います。
日常英会話に加えて自身の専門分野の英語を理解し意思疎通ができれば業務に当たれる場合が多いでしょう。
TOEICでは650〜700点程度です。
アジアで転職するメリット
アジアで転職するメリットは以下のような点が挙げられます。
- 英語力中級からでも挑戦できる
- 日本人に馴染みやすい生活環境
- 経験が浅くても、ある程度大きな仕事を任せてもらえる機会がある
- 経済成長を続けるアジア経済のダイナミズムを体感できる
- 物価の安さ(シンガポールや香港などを除く)
- 総じて自由でリラックスした雰囲気
アジアはまだまだ発展途上の国が多いのですが、経済成長を続ける新興国の躍動感は日本では体感できないものです。
また文化的には日本とも共有する部分もある国が多いので、現地にすぐに馴染める人が多いのも利点と言えます。
まだまだ日本人が多くないので、年齢的に若くて経験が浅くても大きな仕事を任せられたりと、やりがいを感じられる環境であるとも言えます。
アジアで転職するデメリット
アジアで転職するデメリットは以下のような点が挙げられます。
- 日本に比べ給与が安いことが多い
- 福利厚生は最小限
- 管理職に着くのは難しい
- 若年層で就職して中年まで在籍した場合、キャリア転換が難しくなる
- 雇用が不安定
アジアの大多数の国は発展途上であり、給与水準は日本と比べると格段に落ちる場合が多いです。日本人という特殊手当がついたとしても、日本に比べると給与水準が下がるケースが多いのが現実です。
またアジアは総じてリラックスした雰囲気なので、これに慣れすぎると、より上を目指すのが難しくなるので注意が必要です。
日系企業の現地採用職員として英語を使った転職
現在海外に進出している日系企業は約78,000社弱。
それぞれの企業で業務に十分なほど駐在員が派遣できれば良いですが、駐在員の派遣にはそれなりにコストもかかりますし、煩雑な国内での調整もあり、派遣できる駐在員の数は限られている企業が大多数です。
その不足している分を補充するために、各企業ではその国で直接日本人を採用する場合があり、それが現地採用の職員です。
現地で採用されている人材となるため、給与や福利厚生は日本本社の基準ではなく、現地法人独自の基準が適用されるのが一般的です。
転職ができる可能性がある職種
現地で日本人として採用されるのが現地採用職員なので、役割としては「日本人だから」こそできる業務につくことが大多数です。
そのため、日本人として日本語を使っての業務と、現地スタッフと日本のパイプ役となることも多くあります。
代表的な職種は以下のようなものになります。
- 事務
- 通訳・翻訳
- 総務
- カスタマーサポート
- プログラマー
- Webデザイナー
- シェフ・和食調理員
転職で求められる英語力の目安
現地採用職員として転職する場合に求められる英語力は、業界によってまちまちではありますが、日常英会話ができて、現地スタッフとスムーズにコミュニケーションが取れる程度が求められるケースが大多数です。
TOEICでは550-600点ほどのケースが大多数です。
日系企業の現地採用で転職するメリット
日系企業の現地採用で転職する際のメリットは、以下のような点です。
- 働きたい国で働ける
- その国の文化や商習慣を学べる
- 日本での正規採用に比べると比較的採用されやすい
- 現地採用から日本採用になる可能性がある
転職を希望する人で、海外で働くことを目的に海外赴任のチャンスのある企業に転職するのもありですが、駐在員になるのは社内での選抜もあり、必ず叶うというものではありませんし、選抜されるために、日本で数年は勤務するのが一般的です。
なので、希望する国で働く道を探す時に、現地採用職員として転職をするのもひとつの道です。
その他、日本ではなかなか入るのが難しい企業でも現地採用職員は比較的に競争率が低い場合も多いので、中途で入ってそこから日本本社採用へという道も期待できますし、履歴書に「箔」をつけて、キャリアアップを目指す道も可能です。
日系企業の現地採用で転職するデメリット
日系の現地採用で転職するデメリットは以下の点が挙げられます。
- 駐在員と比べ、給与、福利厚生が少ない
- 雇用が不安定
現地採用職員はあくまでも現地法人で雇用された人材であるため、原則現地に合わせた給与と福利厚生が支給される場合が大多数です。
一方駐在員は、日本の給与に加え、駐在手当てや住宅、車両補助、子女の教育補助など、多くの面で優遇されます。
賃金や待遇面での不公平さを感じる現地採用職員は少なくありません。
また、現地法人での雇用となるため、雇用が保証されず不安定さを感じる場合もあります。
英語転職で必要な準備とは
日本国内での英語転職、そして海外での英語転職をそれぞれ見てきましたが、実際に転職活動で必要な準備を段階ごとに解説します。
①転職市場の調査+英語力の目標設定
まずは転職したい業界の英語人材の需要を調査しましょう。
そしてその業界、企業で必要とされている英語力を調査し、達成するべき目標値を設定しましょう。
特に転職の際の履歴書作成で英語力アピールにおすすめはTOEICです。
日本国内で広く知られていて、採用側も応募者の英語力をすぐに測定できる事に加え、教材やスクールが多くあるので学習しやすいテストだからです。
もし欧米での転職を目指すならばIELTSがおすすめですが、特に日本人をよく雇用している企業であればTOEICでも英語力のアピールにはつながります。
転職する業界や企業で英語力の明確な基準が示されていない場合は、企業が求める転職者の英語力の平均値TOEIC620点をひとまずの目標に設定してください。
しかしTOEIC620点はあくまでも平均値であり、業務で英語を使えるというアピールをするには、TOEIC700点以上を目標に設定し準備しましょう。
②基礎英語力の構築
目標設定後は英語の学習の実行です。
まずは基礎英語力を磨きましょう。
ご自身の現在の英語力の測定と、それによってどれだけの学習をしなければならないかの測定には、TOEICの模擬試験を自身でやってみるのも良いでしょう。
自身の現在の英語力とTOEICスコアがわかったら、そこからどれだけ伸ばさなければならないのかが把握できるので、そこから日々英語の勉強を進めましょう。
ただし転職活動を焦るあまりに、闇雲にTOEIC対策をするのはお勧めできません。
TOEICは他のテストに比べて対策がしやすいテストであると言われてはいますが、基礎英語がないままに闇雲にTOEIC対策をしても効果はなかなか上がりませんし、大変非効率です。
まずはしっかりと基礎英語を身に付けましょう。
【公式HP】https://englead.jp/counseling/
③必要な英語スコアの取得
ある程度英語の基礎学習が進んだ後に、TOEICの試験対策をしていきましょう。
教材での自学自習も可能ですし、英語教室のTOEIC対策コースやオンライン英会話サービスのTOEICコースを利用することも可能です。
ただし独学だと目標設定や学習方法が手探りで時間がかかり、また英語教室やオンライン英会話は一般化されたカリキュラムなので目標達成には遠回りです。
転職までにスピーディーかつ確実に英語力を上げたいという人には、オーダーメイドのカリキュラムで目標達成まで導いてくれる英語コーチングがお勧めです。
独学や一般的な英語教室やオンライン英会話に比べると費用は高く見えますが、手探りでの学習を進めて時間をかけるよりは、自身に最適化されたカリキュラムでプロのコーチングを受けながら着実に目標を達成し、キャリアの成功を掴める英語コーチングは特に英語で転職を目指す人には最適なサービスです。
④英語履歴書の作成+英語面接の練習
英語で転職をする場合、日本国内、海外どちらも英語での履歴書の提出と英語でも面接がある場合があります。
英語の履歴書は日本の履歴書とは様式が違うので、ウェブサイトや書籍などを参考に作ってみましょう。
また、英語の面接の準備も必要ですが、これにはオンライン英会話のビジネスコースを受講して、講師と一緒に練習をすると良いでしょう。
⑤採用後ももちろん英語学習は必要
目標スコアを達成し、目標の企業に採用された後も、英語学習は継続してしていく必要があります。
特に英語で業務をするようになると、英語に関する新たな課題を痛感でしょう。
専門分野の英語力、一般的な英会話コミュニケーション能力、会議やプレゼンなど場面場面による英語力を磨きましょう。
英語転職は「職能」×「英語力」で市場価値が決まる
今まで見てきたように、転職を考える際には、日本国内で転職をするのか、海外の企業に転職をするのかという選択肢が出てきます。
またその中でも日本企業にするのか、外資系にするのか、海外の場合には日系企業にするのか海外企業にするのかという様々な選択肢が発生します。
それぞれの勤務地、形態によって求められるスキルや英語力に違いはありますが、総じて言えるのは、英語を使っての転職を考える場合、「英語」という語学能力はあくまでもツールであり、そのツールを使って何ができるか、どのように会社に貢献できるかが最重要ポイントだということです。
今後、英語を使って転職をしようという人は、語学力はもちろんのこと、専門分野をより磨き、海外でも通用するように経験と知識を増やしていくことが何よりも重要だと言えます。
逆に、いくら高い専門性を持っていても、語学力がなくそれを伝えられない場合には、宝の持ち腐れで、海外の人々に対しては生かすことができません。
専門性と語学力を磨くことによりグローバルに活躍できる人材へと自身で磨き上げ、市場価値を創り出ていくことができるのです。