TOEIC500点は最初の壁? 到達するまでに必要な学習時間やよくある問題点について解説
英語の試験として有名なのがTOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC)。
就職活動で英語力をアピールしたい学生から、キャリアアップのために英語力アップを目指す社会人まで毎年多くの人が受験しています。
一般的にTOEICで最初の目標として挙げられるスコアがTOEIC500点ですが、一体どれくらいのレベルなのでしょうか。TOEIC500点でできることや市場での評価についてまとめました。
またTOEIC500点に到達するための学習時間や、TOEIC500点に到達できない人の特徴、その対策についても解説します。
Contents
TOEIC500点の能力や就職市場での評価
TOEIC500点では、どのくらい英語力が身に付いているのでしょうか。就職活動や会社でどのように評価されるのかもみていきましょう。
TOEIC500点のスコアをCEFRで見る
CEFRとは、ヨーロッパで作成された外国語学習者の習熟度レベルを示すガイドラインのことです。欧米では広く認知されており、語学力の指標のようなもの。
出典:IIBCホームページ
TOEIC500点は、CEFRでいうとA2〜B1に相当します。初級から中級にさしかかるレベルと考えてよいでしょう。
さて、TOEIC500点がどのくらいのレベルに相当するのかもう少し範囲を広げてみましょう。
中学・高校時代に馴染みのある「英検」、海外で広く認知されている「TOEFL」「IELTS」のスコアに換算してみました
英検:準2級〜2級
IELTS:4.5
TOEFL:52〜60
試験ごとに問われる能力が異なるため、上記のスコア換算がそのまま当てはまるわけではありませんので参考程度にとどめておきましょう。
TOEIC500点でできること
TOEIC500点のレベルは、中学レベルの基礎的な文法や英単語は習得している状態です。
短い文章を聞き取ることができ、簡単な挨拶や自己紹介ができるようになります。英語で表記された電車やバスの案内板も簡単な内容であれば理解できます。
就職・転職市場での評価
TOEICは、英語力を測る試験として日本でもっとも認知されている試験であり、多くの企業が採用活動や昇級の条件に採用しています。
ビジネスシーンで使える英語力は、一般的にTOEIC600点以上といわれています。そのため、TOEIC500点では「英語力がある」と評価してもらうことは厳しいでしょう。
企業によってはTOEIC500点ではマイナスイメージを与える可能性があるため、履歴書にTOEICスコアを記載する場合はTOEIC600点以上を取得してからをおすすめします。
近年はグローバル化も進み、さらに高いスコアが求められていることも事実です。外資系企業や英語を使う職種の場合はTOEIC600点でも評価されにくい傾向にあるため、就職や転職で英語力をアピールしたい場合は、企業が求めているレベルを必ず確認するようにしましょう。
基礎がある場合とない場合のLR比率
TOEICは「リスニング」と「リーディング」の2つのパートがあり、文法や英単語など基礎力がある人は、両パートでバランス良くスコアを取ることができます。
反対に基礎力が足りない人は、両パートのスコアのバランスが悪く、リーディングが伸び悩む傾向にあることが分かっています。
リスニングパートでスコアを稼いでTOEIC500点に到達していたとしても、リーディングパートのスコアが極端に低い場合は基礎知識が十分でないことを示しているので、のちにTOEIC600点以上を目指す場合にスコアが伸び悩む原因になります。
基礎力がある場合の例
リスニングパート240点+リーディングパート260点=TOEIC 500点
基礎力がない場合の例
リスニングパート320点+リーディングパート180点=TOEIC 500点
TOEIC500点の壁を破れない人の特徴
英語の基礎力を身につけた人がまず目標にするスコアがTOEIC500点です。勉強してもなかなかTOEIC500点に到達できない人はどのような特徴があるのでしょうか。
TOEIC500点の課題①/文法知識
中学レベルの文法が十分に理解できていません。まずはしっかりと文法知識の復習をする必要があります。
TOEIC500点の課題②/単語知識
基本的な単語力が不足しています。また、あいまいに意味を覚えていたり、思い出すのに時間がかかっている可能性があります。
TOEIC500点の課題③/発音知識
発音の知識が乏しく、英語がうまく聞き取れない状態です。リスニングパートで何も聞き取れなかった、ということが起こります。
TOEIC500点の課題④/時間配分
TOEICのリーディングパートは、1問につき30秒〜1分で回答するスピードが求められます。TOEIC500点に到達できない人は、各問題に対する時間配分ができておらず回答時間を無駄に消費している可能性があります。
TOEIC500点の壁を破るために必要なこと
どうすればTOEIC500点に到達することができるのでしょうか。ここでは目標スコアに到達するための必要学習時間と、各パートの目標点数について解説します。
レベル別の必要学習時間
一般的にTOEIC500点を取得するのに必要とされている学習時間です。もちろん個人差がありますが、学生時代にしっかりと英語の勉強をしてきた人はより短い時間でTOEIC500点に到達できる可能性があります。
TOEIC250点からTOEIC500点
800~1200時間 / 1日3時間の学習で約330日TOEIC300点からTOEIC500点
750〜900時間 / 1日3時間の学習で約270日TOEIC400点からTOEIC500点
250〜300時間 / 1日3時間の学習で約90日
各パートの目標点数を算出する
ここではTOEIC500点を取得するための目安についてみていきましょう。
TOEIC500点の壁を突破するためにはリスニングパートで55~60%以上、リーディングパートで40~50%以上の正解率が必要になると考えておきましょう。
リスニングパートは英語初心者でも比較的早いスピードでスコアアップできるため、上記のような配分としています。
より詳しい内容として、各パートで何問正解すればTOEIC500点に到達できるのかをまとめてみました。TOEICの採点方法は公開されていないため確実なものではありませんが、一般的には以下のようになります。
TOEIC公式テストを受験する前に、TOEIC公式問題集やTOEIC模擬試験などを解いてみて各パートで何問正解することができるのか是非チェックしてみてください。
パート①/TOEICリスニング(6問)
【写真描写問題】TOEIC500点の目安:4/6問正解
1枚の写真について4つの短い説明文が1度だけ放送されます。4つのうち、写真をもっとも的確に描写しているものを選びます。
パート②/TOEICリスニング(25問)
【応答問題】TOEIC500点の目安:15/25問正解
1つの質問または文章とそれに対する3つの答えがそれぞれ1度だけ放送されます。設問に対してもっともふさわしい答えを選びます。
パート③/TOEICリスニング(39問)
【会話問題】TOEIC500点の目安:24/39問正解
2〜3人の人物による会話を聞いて問題用紙に印刷された設問と解答を読み、4つの答えの中からもっとも適当なものを選びます。1回の会話につき3つの質問があります。
パート④/TOEICリスニング(30問)
【説明文問題】TOEIC500点の目安:18/30問正解
アナウンスやナレーションのようなトークが1度だけ放送されます。各トークを聞いて4つの答えの中からもっとも適当なものを選びます。パート③と同じように各トークには質問が3問ずつあります。
パート⑤/TOEICリーディング(30問)
【短文穴埋め問題】TOEIC500点の目安:16/30問正解
不完全な短い文章を完成させるために、4つの答えの中からもっとも適当なものを選び解答します。
パート⑥/TOEICリーディング(16問)
【長文穴埋め問題】TOEIC500点の目安:9/16問正解
不完全な長い文章を完成させるために、4つの答え(単語や句または一文)の中から最も適当なものを選びます。パート⑤は短文穴埋めだったのに対し、こちらは長文穴埋めになります。
パート⑦/TOEICリーディング(54問)
【1〜3つの長文の読解問題】TOEIC500点の目安:20/54問正解
短いものから長いものまでさまざまな文章があります。パート⑦の最初は1つの文章を読む問題ですが、進むにつれて2つ〜3つの文章になります。
TOEIC500点の壁を破るために必要な学習法
英語を勉強しよう! と思いたってから、まず最初に考えることは「どうやって勉強するか」ですよね。TOEIC500点を突破するために必要な学習方法にはどのようなものがあるのでしょうか。最近ではさまざまな英語学習サービスが展開されており、学習方法も多様化しています。
英語学習支援サービス vs 独学
中学や高校で英語をしっかりと勉強していた人、自分で計画を立てて物事を進めることが得意な人などは、独学でもTOEIC500点を目指すことが可能です。
まずはTOEIC公式問題集やTOEIC対策模試などを購入して、問題を解いてみましょう。どのパートが苦手か、基本的な文法や単語力で不足しているものはないかを確認し、TOEIC受験本番までに苦手なパートの対策をしましょう。
「独学でやるぞ!」と思ってみたけど独りでは集中力が続かない、勉強方法が合っているのか不安、仕事が忙しいのでなかなか勉強ができない、という人には便利な英語学習支援サービスがおすすめ。
おすすめの英語学習支援サービス
短期集中で英語力を伸ばしたり、通勤や休憩のスキマ時間を利用して英語学習ができるサービスを利用してTOEIC500点を目指しましょう。
①英語コーチング
専任のコーチが生徒の英語学習をサポートしてくれるサービスです。個人に合わせた学習カリキュラムを作成し、課題のチェックや進捗確認、学習相談まで手厚くサポートしてくれます。
コーチはもちろん英語のプロ。英語の効率的な学習方法はもちろん、英語学習の楽しさから大変なことまでさまざまなことを知っているはず。
「英語力を身に着ける」という目標をすでに達成した英語学習の先輩(プロ)がコーチになってくれることほど心強いものはありませんよね。
英語(TOEIC)コーチングサービスは、通学タイプの「オフライン型」とLINEやZoomなどで完結する「オンライン型」の2種類があります。
オフラインは対面でトレーナーと話ができ、オフラインはインターネット環境さえあればどこからでもコーチングを受けることができます。
自分で勉強してもなかなかTOEIC500点に到達できない人、より効率的に英語力をアップしたい人は、自分に合ったコーチングサービスを見つけてみてはいかがでしょうか。
②短期留学(フィリピン留学)
英語環境にどっぷりと身を置きたい人にはフィリピン留学という手段もあります。フィリピンは歴史的な背景から英語が広く浸透しており、世界でもっともビジネス英語能力の高い国に選ばれています。
最短で1週間から留学することができるため、有給やゴールデンウィークなどの長期休暇を利用して気軽に留学することが可能です。
さらにフィリピン留学の魅了は格安でマンツーマン授業を受けられること。価格は欧米留学の半分〜3分の1とも言われています。
TOEIC対策コースを提供している学校もあるので、英語環境に身をおきながら勉強したい人には向いているかもしれません。
③スマホアプリ
スマートフォン向けのアプリでもTOEIC対策ができることはご存知でしょうか?
スマホアプリのメリットはその手軽さ。通勤中やお昼休みの間、待ち合わせまでの時間などちょっと空いた時間を使ってTOEICの勉強をすることができます。
また、クイズ形式で単語の勉強などもできるのでゲーム感覚で楽しみながら勉強できるメリットもあります。机に座って黙々と勉強することが苦手な人にとっては、スマホアプリなら長く続けられるかもしれません。
無料で配信されている英語学習アプリもあるので、まずは無料アプリでTOEICの勉強をしてみて、慣れてきたら豊富な学習コンテンツを配信している有料アプリに乗り換えるのもおすすめです。
まとめ:TOEIC500点を突破できない人の問題点と必要な英語学習
TOEIC500点を突破するには、まず基本的な文法知識や単語力を身につける必要があります。
ひと通り基礎を身に着けたつもりでも、TOEIC本番で長文が理解できなかったり、単語の意味を思い出すのに時間が掛かってしまってはTOEIC500点に到達できません。
また、TOEIC300点の人がTOEIC500点を目指す場合、一般的に750〜900時間の学習が必要といわれています。とは言え、中学・高校できちんと英語の勉強をしてきた人であれば、忘れている英語の知識を思い出すだけで済むので、もっと早いスピードでTOEIC500点に到達することが可能です。
TOEIC500点は英語の基礎力を身につけ、中級に一歩踏み入れたレベルです。つまりこれから英語でできることがどんどん増えてくるようになります。
はじめてTOEICに挑戦する人や、英語力をあげて仕事の幅を広げたい人などはまずTOEIC500点を目指して勉強してみてくださいね。
効率的に学習したい人、独学ではなかなか成果が出せない人は「英語コーチング」や「アプリ」などの英語学習支援サービスを使って短期的に英語力を底上げすることもおすすめです。