英語の試験として有名なのがTOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC)。
TOEICを受験する理由はさまざまですが「英語力をあげて海外のクライアント相手にばりばり仕事がしたい」「外資系企業に転職してもっとフレキシブルに働きたい」といったビジネスマンが、英語力向上の手段としてTOEICを受験するケースも増えてきました。
このように英語を使ってキャリアアップを目指す人たちが、まず目標にすべきスコアはTOEIC700点といわれています。では、TOEIC700点とは具体的にはどのくらいのレベルなのでしょうか。
この記事ではTOEIC700点にフォーカスし、TOEIC700点で何ができるのか? 仕事に役立つのか? といったよくある疑問に答えていきます。
さらに、TOEIC700点を突破できない人の特徴や、必要な学習時間についてもまとめてみました。
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TOEICを主催する日本国際ビジネスコミュニケーション協会(以下、IIBC)のデータによると、2020年1月に開催されたTOEIC公式試験の平均点は581.2点であり、TOEIC700点は平均を大きく上回るスコアであることが分かります。
また、TOEIC700点以上取得したのは受験者全体の27.9%なので、TOEIC700点は受験者の上位約3割に該当することになります。
CEFRとは、ヨーロッパで作成された外国語学習者の習熟度レベルを示すガイドラインのことです。欧米では広く認知されており、語学力の指標のようなもの。
出典:IIBCホームページ
TOEIC700点は、CEFRでいうとB1〜B2に該当し、英語中級レベルと言えます。
TOEIC700点のレベルについてもう少し詳しくみてみましょう。TOEICと同じくメジャーな試験である「英検」、海外大学進学などの際に必要とされる「TOEFL」「IELTS」のスコアに換算してみました。
英検:2級〜準1級
IELTS:5.5
TOEFL:53
試験ごとに問われる能力が異なるため、上記のスコア換算がそのまま当てはまるわけではありませんので参考程度にとどめておきましょう。
TOEIC700点は英語中級レベルと言えますが、具体的にどのようなことが英語でできるようになるのかまとめてみました。
仕事、趣味、学校などメジャーな話題について、筋の通った簡単な文章を作りコミュニケーションをとることができます。
海外旅行も自由度をもって楽しむことができるようになります。旅先で出会った外国人と仲良くなったり、飲食店やホテル、空港で起きたちょっとしたトラブルにも対応できます。
また、ビジネスにおいてはスタートラインに立った段階だといえます。自身の業務に関することであれば問題なく理解できますが、複雑な契約書類やマニュアルを読むのはやや苦労します。
1対1で日常的なコミュニケーションをとったり、英語字幕をつければ海外映画やドラマを理解できるようになるので、英語学習へのストレスはなくなり英語を使うことが楽しくなってくるはずです。
TOEICは、英語力を測る試験として日本でもっとも認知されている試験であり、多くの企業が採用活動や昇級の条件に採用しています。
ビジネスシーンで使える英語力は一般的にTOEIC600点以上といわれていますが、グローバル化が進む近年はより高いスコアを求めている企業も増えています。
そのため、TOEIC700点以上を取得していれば「英語を使って仕事ができる人」と評価してもらえる可能性が高くなると言えるでしょう。
新卒の就活では有利に選考を進める可能性が高くなりますし、中途の転職においても応募できる企業の選択肢が増えるはずです。
ただし、TOEIC700点を取得したからといって安心ではありません。外資系企業の採用ではTOEIC700点が最低ラインと言われていて、少し厳しめに表現すると「TOEIC700点は企業から評価されるギリギリのスコア」であるのです。
英語力を上げて海外事業に携わりたい、外資系企業に就職したい人などは、企業が求めているスコアを調べて英語学習に取り組むことをおすすめします。
TOEICには「リスニング」と「リーディング」の2つのパートがあります。
文法や英単語の知識が十分にある人は、両パートでバランス良くスコアを取ることができますが、知識が不足していると両パートのスコアのバランスが悪く、特にリーディングが伸び悩む傾向にあることが分かっています。
リスニングパート 360点+リーディングパート 340点=TOEIC 700点
リスニングパート 420点+リーディングパート 280点=TOEIC 700点
なぜこのように偏ったスコア配分になってしまうのかというと、リスニングパートは文法や単語の難易度が高くなく、決まったシチュエーションでの会話問題が多いため、勉強するほどスコアを伸ばしやすい傾向にあります。
反対にリーディングパートは解答時間が非常にタイトですし、難しい単語がでてきたりパラフレーズ(言い換え)の知識も必要となるのでスコアを伸ばすのに時間がかかります。
基礎がないままだとTOEICスコアが伸び悩むだけでなく、根本的に英語力が伸びません。つまり、仕事であなたの英語が通用しなかったり、キャリアアップに繋がらないということです。
大切なのはバランスよく英語力を磨くこと。リスニングパートもリーディングパーも、ビジネスで多用する表現がつまっていますので、両パートでバランス良くスコアを伸ばすことがポイントです。
勉強してもなかなかTOEIC700点に到達できない人はどのような特徴があるのでしょうか。
大学入試に対応できるだけの文法の知識が不足しています。高校レベルの英文法を復習する必要があります。
ビジネスシーンで使われるようなTOEIC特有の英単語が不足しています。また、あいまいに意味を覚えていたり、思い出すのに時間がかかっている可能性があります。
発音の知識が十分ではなく、英文全体を細部までしっかりと聞き取れていません。短い文章は聞き取れても、長い文章になると聞き取りができないこともあります。
TOEICのリーディングパートは、1問につき30秒〜1分で回答するスピードが求められます。TOEIC700点に到達できない人は、各問題に対する時間配分ができていなかったり、分からない問題で考え込んでしまったりして時間を無駄に消費している可能性があります。
TOEICで700点を取得するメリットは3つあります。
前述の通り、TOEIC700点を取得すれば、就職や転職で有利になります。
特に新卒採用では、TOEIC受験者の中でも700点以上を取得している方は少なく、大きなアドバンテージになります。
TOEIC700点を取得している方は、就職活用や転職活動で、TOEICスコアを積極的にアピールしていきましょう。
企業によっては、昇進や昇給の条件として、TOEICスコアの取得を義務付けています。また海外赴任の条件として、TOEICスコアの取得が義務付けられている場合もあります。
大学によっては、 TOEICスコアを取得することで、英語の単位を取得できます。単位認定されるかどうかは、大学によって異なります。大学生の方で英語が必修科目である方は、ぜひ確認してみてください。
何点で単位認定されるかは、大学によって異なります。しかし700点を取得していれば、確実に単位認定されるでしょう。
英語の授業を単位認定できれば、時間を有効活用できます。大学の英語の授業は、普段から英語を学んでいる方ばかりが受ける授業ではありません。
よって普段からTOEIC対策を通して英語を学んでいる方にとっては、レベルが低く、退屈に感じてしまうことがよくあるようです。
空いた時間を使って、TOEICでさらに高いスコアを目指すなど、時間を有効活用してください。
どうすればTOEIC700点に到達することができるのでしょうか。ここでは目標スコアに到達するための必要学習時間と、各パートの目標点数について解説します。
一般的にTOEIC700点を取得するのに必要とされている学習時間です。
もちろん個人差がありますが、大学受験のためにしっかり英語の勉強をしてきた人や、大学で英語の授業を選択していた人は、より短い時間でTOEIC700点に到達できる可能性があります。
TOEIC250点からTOEIC700点
1000~1250時間 / 1日3時間の学習で約370日TOEIC400点からTOEIC700点
750〜900時間 / 1日3時間の学習で約270日TOEIC500点からTOEIC700点
550〜650時間 / 1日3時間の学習で約200日
ここではTOEIC700点を取得するための目安についてみていきましょう。
TOEIC700点の壁を突破するためには、リスニングパートで80%以上、リーディングパートで60%以上の正解率が必要になると考えておきましょう。
リスニングパートはリーディングパートに比べて短期間でスコアアップすることができ、TOEIC受験者の多くはリスニングパートのほうが高めの傾向であるため、上記のような配分としています。
より詳細な目安を知るために、各パートで何問正解すればTOEIC700点に到達できるのかを以下にまとめてみました。
TOEIC公式テストを受験する前に、TOEIC公式問題集やTOEIC模擬試験などを解いてみて各パートで何問正解することができるのか是非チェックしてみてください。
1枚の写真について4つの短い説明文が1度だけ放送されます。4つのうち、写真をもっとも的確に描写しているものを選びます。
説明文の多くがパターン化されています。TOEICの単語帳を使って、頻出表現をコンプリートしておくことで全問正解も可能です。
1つの質問または文章とそれに対する3つの答えがそれぞれ1度だけ放送されます。設問に対してもっともふさわしい答えを選びます。
whatやwhyなど疑問詞ではじまる文章はわりと解きやすいため、必ず正解するようにしましょう。ひねりのある問題も出題されるため、日頃からパート②の内容に慣れておくことも重要です。
2〜3人の人物による会話を聞いて問題用紙に印刷された設問と解答を読み、4つの答えの中からもっとも適当なものを選びます。1回の会話につき3つの質問があります。
会話がはじまる前に設問に目を通しておきましょう。いかに早く設問を先読みできるかで正解率が大きく変わります。また、日頃からディクテーションやシャドーイングでリスニング力を鍛え、英語を英語のまま理解できるようトレーニングしておきましょう。
アナウンスやナレーションのようなトークが1度だけ放送されます。各トークを聞いて4つの答えの中からもっとも適当なものを選びます。パート③と同じように各トークには質問が3問ずつあります。
パート③と同様に先読みが重要。先読みが間に合わなかったり、回答に迷って長く考え込んでしまう場合は、思い切ってその問題を捨てて次の設問に集中する決断も大切です。
不完全な短い文章を完成させるために、4つの答えの中からもっとも適当なものを選び解答します。
品詞問題が20〜25%を占めています。品詞問題は単語の意味を知らなくても解けることが多いため、品詞問題は必ず正解できるように理解を深めておきましょう。1問につき1分で回答できように日頃からスピード感を養っておくことも大切。
不完全な長い文章を完成させるために、4つの答え(単語や句または一文)の中から最も適当なものを選びます。パート⑤は短文穴埋めだったのに対し、こちらは長文穴埋めになります。
長文の読解には慣れも必要です。TOEIC対策だけでなく、日頃から長文に慣れ親しんでおくことをおすすめします。もし回答に時間がかかり過ぎてしまいパート⑦の回答時間を大幅に削ってしまうようであれば、思い切って捨てる決断も必要です。
短いものから長いものまでさまざまな文章があります。パート⑦の最初は1つの文章を読む問題ですが、進むにつれて2つ〜3つの文章になります。
TOEIC700点レベルですべての問題に回答することは難しいはずです。自分の苦手な出題形式や、回答に時間がかかる設問は思い切ってスキップしても構いません。
また、パート⑦は全54問あり集中力を保つだけでも大変なパート。1問につき1分以内で回答するスピード感も大切ですが、集中力を切らさないように深呼吸や背伸びなどの小休憩を挟むことも忘れずに。
英語を勉強しよう! と思って最初に考えることは「どうやって勉強するか」です。
TOEIC700点を突破するために必要な学習方法にはどのようなものがあるのでしょうか。最近ではさまざまな英語学習サービスが展開されており、学習方法も多様化しています。
TOEIC700点は、高校・大学受験レベルの文法や単語をしっかりと習得しているレベルです。
もちろん個人差はありますが、もともと英語が得意ではなく学校の授業についていくだけで大変だった人、大学受験が終わって長らく英語に触れていなかった人などは独学でTOEIC700点に達成するのはかなりの努力が必要です。
自分の弱点を見抜いて対策しその結果を分析して次に活かす、いわゆる英語学習のPDCAサイクルをまわして行動できる人であれば、独学でもTOEIC700点に到達することはできるでしょう。
ただ「独学でTOEIC700点とるぞ!」と思ったけれど独りではモチベーションが維持できない、TOEIC600点台で停滞していて行き詰まっている、仕事が忙しいのでもっと効率的に英語力を伸ばしたいと思っている人、意外に多いのではないでしょうか。
そんな人には、便利な英語学習支援サービスがおすすめです。
短期集中で英語学習に取り組んだり、通勤や休憩のスキマ時間を利用して英語学習ができるサービスを利用すれば、あなたの英語力は加速度的にアップするかも。
専任のコーチが生徒の英語学習をサポートしてくれるサービスです。個人に合わせた学習カリキュラムを作成し、課題のチェックや進捗確認、学習相談まで手厚くサポート。
コーチはもちろん英語のプロ。「勉強しているのにTOEICスコアが上がらない」「ビジネス英語を短期間で身につける方法を知りたい」といった相談にも真剣に応えて、最短ルートで成果がでるよう適切な学習スタイルを指導してくれます。
英語(TOEIC)コーチングサービスは、通学タイプの「オフライン型」とLINEやZoomなどで完結する「オンライン型」の2種類があります。オフラインは対面でトレーナーと話ができ、オフラインはインターネット環境さえあればどこからでもコーチングを受けることができます。
短期間で英語力を上げて仕事に活かしたい人、独学で英語力を身につけることに限界を感じている人などは、自分に合ったコーチングサービスを見つけてみてはいかがでしょうか。
英語環境にどっぷりと身を置きたい人にはフィリピン留学という手段もあります。フィリピンは歴史的な背景から英語が広く浸透しており、世界でもっともビジネス英語能力の高い国に選ばれています。
最短で1週間から留学することができるため、有給やゴールデンウィークなどの長期休暇を利用して気軽に留学することが可能です。
さらにフィリピン留学の魅了は格安でマンツーマン授業を受けられること。価格は欧米留学の半分〜3分の1とも言われています。
TOEIC対策コースやビジネス英語コースを提供している学校もあるので、英語環境に身をおきながら勉強したい人には向いているかもしれません。
スマートフォン向けのアプリでもTOEIC対策ができることはご存知でしょうか?
スマホアプリのメリットはその手軽さ。通勤中やお昼休みの間、待ち合わせまでの時間などちょっと空いた時間を使ってTOEICの勉強ができます。
また、AI(人工知能)が自動であなたの弱点を見つけて、苦手な問題を効率的に復習できるような機能もあります。
魅力がつまった便利なサービスですが、アプリだけでTOEIC700点に到達するのはあまり現実的ではありません。
やはり本番と同じように紙の問題を解いたり、パート①〜⑦まで通しで問題を解くなどTOEIC受験への慣れも必要です。
そのため、アプリはあくまでも二次的な英語学習と位置づけておくべきでしょう。
TOEICでは数多くの参考書が出版されています。参考書はスコア別やパート別に分かれています。あなたにあった参考書を選びましょう。
参考書は、アプリと比べると持ち運びに不便です。電車の中など、ちょっとした空き時間での学習には、アプリの方が便利です。
しかし机に座って、しっかりと時間を確保して学習する場合は、参考書の方がおすすめです。また参考書だと、重要な箇所にマーカーを引いたり、重要事項を書き込みしたりできます。
TOEIC700点を目指すのであれば、TOEIC700点レベルの単語帳と、あなたの苦手パートの参考書、実践問題集を1冊ずつ購入するといいですよ。
参考書だけでTOEIC700点を達成することも可能ですが、やはり参考書での学習は独学になるので、モチベーションを管理したり、時間を確保したりする力が必要です。
モチベーションを管理したり、時間を確保したりする自信がない方は、すでに紹介した英語コーチングや短期留学といった勉強方法と参考書での学習を組み合わせましょう。
TOEIC700点を突破するためには、高校・大学受験レベルの英語力をしっかりと身に着け、問題を解くスピード感も養っておく必要があります。
TOEIC500点の人がTOEIC700点を目指す場合、一般的に500〜600時間の学習が必要といわれています。
「そんなに勉強しないといけないの?」と感じた人もいるかもしれませんが、正しい方法で集中して勉強すればもっと短い期間でTOEIC700点に到達し、英語を使って仕事ができるレベルに成長できます。
TOEIC700点は、周りから「英語ができる人」と評価されるレベル。目標だった外資系企業への転職や、海外クライアントとの取り引き、マネジャー職への昇進は確実に近づいているでしょう。
正しい方法で勉強して最速ルートで英語力を上げたい人、ビジネスで通用する英語力を効率的に身に着けたい人は、「英語コーチング」などの英語学習支援サービスを使って短期間で英語力を底上げすることをおすすめします。