「大企業から内定をもらうためにTOEICスコアを取ったほうがいい」「TOEICでハイスコアを取れば就職が有利になる」という言葉。就職活動を控えている人なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
大企業や人気企業になるとかなりの倍率になるため、ライバルに打ち勝って内定を獲得するためには企業から魅力的な人材として評価してもらう必要があります。
そこであなたの就職活動を後押ししてくれるのが「TOEIC」です。グローバル化にともなって企業は英語力の高い人材を必要としており、就職活動生のTOEICスコアを重視する傾向が強くなっています。
この記事では、TOEICがどう就職に役立つのかをわかりやすく解説。TOEICでハイスコアを取るメリットや、企業がTOEICを重視する理由、就職活動に必要なTOEICスコアなどを知って、就職活動の成功に活かしていきましょう。
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最近のエントリーシートや履歴書には、必ずと言っていいほどTOEICスコアの記入欄が設けられています。
資格・スキルの記入欄とは別にTOEICの欄が設けられていることから、就職においてTOEICが重要な資格のひとつであることは間違いありません。
はじめにTOEICについて、おさらいしておきましょう。
TOEICとは、日常生活やグローバルビジネスにおける英語力を測定するテスト。TOEICテストにはいくつか種類がありますが、一般的にTOEICというと「聞く力」「読む力」を測る TOEIC Listening & Reading Testのことを指します。
リスニングパートとリーディングパート合わせて200問を2時間で解答し、990点満点でスコア判定され、合否判定がないことが特徴。英語力をスコア化できることから、英語のレベルチェックにも最適の試験です。
TOEIC受験者は年々増加傾向にあり、2018年には約250万人もの大学生や社会人が受験しました。日本でもっとも認知度の高い英語であることから、多くの企業が採用活動や人事評価制度に導入しています。
TOEICのほかに馴染みのある英語の試験といえば英検ですが、就職において役に立つ試験は断然TOEICです。
そもそも2つは英語の試験という点では同じですが、問題の内容がまったく異なります。
TOEICはビジネスシーンを中心とした英語力を測るのに対し、英検は日常会話から社会的な題材まで幅広いトピックが出題されます。
つまり、英検よりもTOEICのほうがビジネスシーンの英語力を測るには適しているということ。
「同じ英語の試験だから英検も就職に役立つ?」という質問がよくありますが、就職に向けて英語力を強化するのであればTOEICを選ぶのがベストと言えるでしょう。
TOEICには、TOEIC公開テストとTOEIC IPテスト、そしてTOEIC初心者向けのTOEIC Bridgeがあります。
TOEIC Bridgeは、他2つのTOEICと明らかに形式が異なります。一方TOEIC公開テストとTOEIC IPテストは、試験時間も問題形式も同じです。
しかし就職活動を有利に進めたいのであれば、TOEIC IPテストではなく、TOEIC公開テストを受験しましょう。
就職活動では、あなたのTOEICスコアが本物であることを証明するために「公式認定証」の提出を求められます。しかし公式認定証が発行されるのは、TOEIC公開テストだけ。TOEIC IPテストでは発行されません。
TOEIC IPテストは、TOEIC公開テストよりも安い受験料で受けられる試験です。その代わり、問題は新たに作られたものではなく、過去問を再利用して作られています。
またTOEIC IPテストは団体受験が可能です。大学や塾などが団体で申し込むことで、そのまま大学や塾などを試験会場として試験を実施します。また試験監督やスタッフも、団体で担当します。
以上の理由からTOEIC公開テストの方がスコアの信頼性が高く、公式認定証はTOEIC公開テストでしか発行されません。
試しにTOEICを受けてみるのであれば、TOEIC IPテストでも構いません。しかしTOEICスコアを就職活動に活用したいのであれば、TOEIC公開テストを受験しましょう。
TOEICを運営している国際ビジネスコミュニケーション協会が発表した調査結果によると、採用時にTOEICスコアを「採用要件にしている」「参考としている」と回答した企業は全体の約50%に達することが明らかになりました。
半数以上もの企業が採用時にTOEICスコアを見ているということは、就職活動においてTOEICが重要なポイントになってくることは間違いありません。
また、同協会が発表した別のデータによると、これからの社会人に必要とされるスキルの第1位に「英語力」がランクイン。
コミュニケーション能力や論理的思考といったよく聞かれるビジネススキルを抑えて英語力が第1位になったということで、企業がいかに英語力の高い人材を求めているのかが分かります。
結論として、企業はグローバルに対応できる人材を求める傾向にあります。就職市場のニーズを満たし内定を勝ち取るために、英語力をアピールできるTOEICは就職活動において強力な武器になると言えるでしょう。
TOEICに限らず、就職で役に立ちそうな資格はいくらでもありそうな気がしますが、なぜTOEICがそんなに注目されているのでしょうか。
ビジネス環境は想像以上に早いスピードでグローバル化が進んでいます。国内市場が縮小し日本だけでは勝負しにくい状況から、企業はまだまだ成長が期待できる海外に目を向けているのです。
外務省の発表によると、2017年時点で海外進出している日系企業の総数は7万5千拠点を上回り、過去最多の数字を記録。前年に比べて約5.2%も増加しました。
特に2013〜2017年にかけては約18%も増加しており、日系企業の海外進出は急速に増えていることが分かります。
さらに、日本貿易振興機構(JETRO)が実施した調査では「今後3年程度に海外進出の拡大をはかりたい」と計画している企業が、全体の6割にのぼることが明らかになりました。
ここ数年を通してほぼ同じ割合で推移しており、企業のグローバル化への意識の高さがうかがえます。
これらの調査結果から分かるように、ビジネスの舞台は国内からグローバルへ移りつつあり、企業もこの変化に対応できるグローバル人材を必要としています。
そのため企業は英語力の高い人材を求める傾向にあり、就職活動生のTOEICスコアを重要なポイントとして評価しているのです。
TOEIC以外にも英語の試験にはさまざまな種類があり、日本では英検、世界ではIELTSやTOEFLなどが有名です。
それぞれの試験に特徴やメリットがありますが、日本のビジネスシーンにおいてはTOEICが圧倒的な知名度を誇っていることから、企業は採用活動や人事評価に取り入れています。
一方で、英検やIELTS、TOEFLなどでハイスコアをとっていても、企業の人事担当者はそれらの試験に精通しておらず「英語力の評価ができない」ということになってしまいます。
就職に向けて英語力をアップさせても、試験の知名度の低さが原因で企業から英語力を評価して貰えないのであれば意味がありません。
就職に向けて「英語力を上げたい」「明確に英語力をアピールしたい」という人は、まずはTOEICというスタンダードな一択を選ぶようにしましょう。
有名企業や大手企業の採用枠には多数の応募があり、何十倍〜何百倍の応募率になることもしばしば。そのような状況で企業はひとつずつ履歴書をみて選考するわけではありません。
まずは大学名やSPIテスト、専門資格などで一定の就職活動生を足切りします。TOEICもひとつの足切り基準になっていると考えてください。
TOEICは、英検のように合否判定ではなく、英語力を5点刻みでスコア化してくれます。企業が英語ができる人材を求めている場合「TOEIC◯◯点レベル以上の英語力をもった人材」という明確な基準をもうけることができるので、優秀な人材を効率よく採用するために参考材料として導入されているのです。
就職活動生からすると足切りなんてせず「ひとりずつ志望動機をみて選考してほしい」「面接でしっかり話を聞いてほしい」と思うかもしれませんが、限られた時間と予算のなかで効率的に人材を確保するためには一定の基準をもうけて就職活動生をふるいに掛けることは必要なことなのです。
「足切り基準のひとつにTOEICスコアが該当することがある」という点を理解し、それを乗り越えるためにも就職活動前からTOEICでハイスコアを取得しておくことが重要であることを覚えておきましょう。
「就職活動に向けてTOEICスコアを取得しておくと良い」となんとなく分かっていてもついつい後回しにしてしまう人が多いのではないでしょうか。
就職活動を成功させたり、志望度の高い企業から内定を獲得するなら、就職活前にTOEICスコアを上げておくことをおすすめします。
ここでは具体的にTOEICのメリットを再確認して、就職活動に向けて準備を進めていきましょう。
TOEICでは英語力をスコア化するため、客観的に英語力を評価しやすいというメリットがあります。
面接官に英語力をアピールする表現方法はいくつかありますが、重要なのは「具体的」かつ「客観的評価が可能」かどうかです。
面接官に「英語が得意なので英語を使った業務もできます」とアピールしたとしましょう。
この表現は具体性と客観性に欠けており「得意といってもどのくらいのレベルか?」「どのような業務を英語でできるのか?」と面接官はあなたの英語力を評価することができません。
では面接官に「TOEIC800点を取得しているので英語を使った業務もできます」とアピールした場合はどうでしょうか。
TOEIC800点という具体的なスコアを明示することで説得力が増しますし、「TOEIC800点なら基本的な英語の事務作業はこなせるし、経験を積めば海外クライアントと交渉できるようになる」と客観的に英語力を評価することができます。
このように、TOEICスコアがあれば英語力を明確にアピールすることができるので、あなたの魅力を最大限に伝えることができるようになります。
就職活動は大勢の同じような経歴をもった人達と戦うことになります。人気企業ともなればエントリーだけで数百倍の倍率になることもあり、その中には学部・経験・スキル・見た目などがほとんど同じ人もたくさん存在します。
このような状況では、残念ながらあなたの魅力がライバルのなかに埋もれてしまいがちですが、TOEICスコアがあればライバルと差別化をはかることが可能です。
特に企業はグローバルに対応できる人材を求める傾向にあるため、経験やスキル、見た目などが似たような人がいても、TOEICスコアで英語力をアピールすることでライバルと差をつけることができます。
最近では「TOEICは就職活動生にとって必須スキル」とも言われるようになり受験者が増えていますが、まだまだライバルとの差別化をはかるためにTOEICは利用価値の高い試験です。
あとになって「TOEICスコアを上げておけば就職がうまくいったかも……」と後悔しないように、就職活動前にしっかりとTOEICスコアを上げて、ライバルと差をつけられるように準備しておきましょう。
TOEICスコアは英語力の評価だけではなく、そのほかのポテンシャルも評価してもらえる可能性があります。
TOEICでハイスコアを取るためには、それなりの時間とエネルギーを費やす必要があります。
そのことを企業も理解しているため、TOEICハイスコア取得者=「粘り強さがある」「集中力がある」「積極的にものごとに取り組める」などという印象を持ってもらえる可能性が十分にあります。
とくに短期的にTOEICスコアをあげたのであれば「知識の吸収の速さ」「地頭の良さ」といった印象も持ってもらえるでしょう。
つまり、TOEICは英語力だけに限らず、あなたの潜在的な強みを間接的にアピールすることにも役立つということ。就職活動前にTOEICスコアを上げておけば、より説得力のある自己アピールが可能になるでしょう。
「とりあえずTOEICスコアさえ取得しておけば問題なし」というわけではありません。
これから就職活動を控える方が、TOEICスコアを取得する、TOEICスコア取得のために対策をすることによるデメリットにも目を通しておきましょう。
TOEICはリーディングとリスニングの試験です。よって、スピーキング力やライティング力が直接鍛えられることはありません。
企業によっては、英語での面接を行なっています。英語面接を行う企業は、航空関係やコールセンターの海外部門など、直接的に英語を使う業務に多いです。
TOEICで高得点を取ったからと言って、それが直接スピーキング力につながるわけではありません。よって、志望する企業に英語面接がある場合には、別途スピーキングの対策が必要になります。
しかし、ゼロからスピーキング対策を行うのと、TOEICで高得点を取得した状態でスピーキング対策を行うのとでは、かかる時間や労力が大きく異なります。
TOEICで高得点を取得しているということは、スピーキングの下地はすでにできている状態です。あとは頭の中にある英語を、いかに素早く正確に引き出せるかです。
一方ゼロからスピーキングを学ぶ場合、単語や文法事項のインプットから始めなければなりません。
TOEICスコアがありスピーキングができる状態と、TOEICスコアがなくスピーキングができる状態では、当然前者の方が就職活動で有利です。
よって英語面接があるにせよないにせよ。TOEICスコアは取得しておくべきです。
TOEICは簡単に高得点を取得できるほど簡単な試験ではありません。TOEICで高得点を取得するには、現状を把握し、目標を決め、学習計画をたて、それを確実に実行する必要があります。
しかし就職活動を控えた学生には、TOEIC対策以外にもやるべきことがたくさんあります。大学の講義・アルバイト・インターン・企業研究・就職活動などと同時並行で、TOEIC対策を行わなければなりません。
本気でTOEIC対策を行わず、なんとなくでTOEIC対策を続けていれば、マンネリ化してしまいます。何ヶ月経ってもTOEICスコアは上がらず、TOEIC以外の活動にも影響が出てしまうでしょう。
TOEICは、1日1〜3時間、腰を据えて対策をすれば、3ヶ月もあれば100点や200点のスコアアップを目指せる試験です。ただし短期間でTOEICスコアを伸ばすには、正しい勉強方法と毎日確実に学習時間を確保することが必要です。
一方ダラダラと勉強をしていては、いつまで経ってもスコアは伸びません。
就職活動を成功させるためには、TOEICは短期決戦で終わらせるべきです。
「そんなこと言われても、正しい勉強方法が分からない。自分の意思だけで毎日続けられる自信がない」という方におすすめなのが英語(TOEIC)コーチングスクールです。
詳細は以下の記事で解説しています。
TOEICスコアが就職活動を後押ししてくれることはお分かりいただけたと思います。
就職を有利に進めるために必要なTOEICスコアは志望する業界や職種によりさまざまですが、目安として就職活動生が到達すべきTOEICスコアを解説していきます。
就職活動に向けて到達しておきたい最低スコアがTOEIC600点です。
最低スコアという理由は、英語を使って仕事ができる最低ラインがTOEIC600点と言われているからです。
TOEIC600点は、中学高校レベルの英語の基礎をひと通り身に付けた状態で、簡単な英語のメールを作成したり、定型文で作られた英語の資料を読解することができるレベルです。
就職活動前に最低でもTOEIC600点に到達して、就職活動を成功に導きましょう。
大手日系企業や英語を使う仕事を目指すのであれば、英語力中級クラスに該当するTOEIC730点を目指しましょう。
大手や有名企業から内定を獲得するには、かなりの倍率を制する必要があるので、なるべく高いTOEICスコアを取得しておくのが就職活動を有利にすすめるポイントです。
特に英語を使う職種の場合は「英語ができて当然」というスタンスで選考が進むはずなので、TOEIC730点以上のスコアを目指しましょう。
また、大手企業や急成長中の人気企業はすでにグローバル事業に着手している可能性が高く、入社後は必然的に英語を使って仕事をする機会があるはずです。
TOEIC730点は、英語での基本的な事務作業はもちろんのこと、自身の職種や専門分野に関する資料であれば問題なく英語での読み書きができるレベルです。
大勢いるライバルに打ち勝つこと、入社後に英語を使う可能性を考えるとTOEIC730点は絶対に達成したいラインになります。
外資系企業や、さまざまな国籍の社員が働くグローバル企業を志望するなら、英語力中上級レベルのTOEIC800点を目指しましょう。
外資系企業であれば海外とのやり取りが発生する可能性は高くなりますし、当たり前のように帰国子女やバイリンガル、外国人社員がいる企業も多いはずです。企業によっては英語ができて当たり前な風潮があったり、入社条件にTOEICスコアを設けていることもあります。
さらに外資系企業は就職活動生から根強い人気があり倍率も高くなるので、TOEIC800点レベルの英語力を取得しておくことで、グローバル環境で活躍してくれる人材として評価してもらえる可能性が高くなります。
ちなみに、日本発のグローバル企業といえばIT企業の「楽天」が有名です。楽天は社員全員にTOEIC800点取得の義務をもうけ、社内公用語を英語にしたことが話題になりました。さらに今では全体の2割を外国人が占めるほどのグローバル企業に急成長しています。
今後は、楽天のように英語公用語化や外国人社員を増強する企業が増えてくると言われています。そのため外資系企業やグローバル企業への就職を目指すなら、TOEIC800点レベルの英語力は必ず達成しておくべき最低ラインと考えておきましょう。
IT業界へ転職を考えているなら、サクフリブログをご参考にして
グローバル化が加速するなかで、TOEICは就職活動を後押ししてくれる武器になることは間違いないでしょう。TOEICは誰でも受験することができますし、集中してしっかりと勉強すればハイスコアを取得することが可能な試験です。
とはいえ、TOEICスコアさえあれば就職が成功するわけではないということは忘れずに。
就職活動を成功させるためには、ビジネスパーソンとしてのマナーや、コミュニケーション能力、専門スキルなどを身につけていることが大前提です。
それに加えて、TOEICスコアを+アルファの武器にすることで、自分の魅力を最大限にアピールすることができ、就職活動を有利に進めることができるようになるでしょう。