TOEICのリスニングはリーディングよりも簡単? 隙間時間を利用した反復学習で対策をしよう!
シャドーイングやディクテーションなど、TOEICのリスニングスコアを向上させるための学習法に注目がされていますが、実際に独学でそれらの勉強法を正しく身につけるのは簡単ではありません。
しかし、きちんとした学習方法を一度身につけてしまえば、反復学習によって数ヶ月で劇的なリスニングのスコア改善ができてしまうのも事実です。
今回の記事では、TOEICのリスニングに効果的な勉強法の紹介から、リスニングの要素、点数別のできること、問題の構成と回答のコツなどを紹介していきます。
これからTOEIC学習に取り組む人も、既に何度か受験をして壁にぶつかっている人も必見の内容になっています。
Contents
リスニングの2大要素について
リスニングには①聞き取り、②意味理解の2つの大きな要素があります。英語のリスニングできるようになるということは、この二つの要素をスムーズに出来るようになる事と同義です。
リスニングの要素①/聞き取り
聞き取る力というのは、流れてきた音声を正確に耳でとらえることが出来る力を言います。
RightとLightの違いを聞き取る事が出来たり、音の連結(例:Make it=メイキッという発音になる)を瞬時に判断出来るような力の事です。
「リスニング問題を解いていて、全然わからなかったけどスクリプト(台本)を読んでみたらほとんど知っている単語だった…」
という経験が一度はあるのではないでしょうか?
この現象はまさに聞き取る力が問題に対して未熟なゆえに起こると言えます。
正確に英文を聞き取り理解するためにも、聞き取りのスキルを養うことが非常に重要だと言えます。
リスニングの要素②/意味理解
聞き取った英文を瞬時に意味を理解する力が意味理解です。
これはリーディングにも通じる力でもあります。
特にリスニングでは、英語を脳内で日本語に訳す過程をスキップして、英語を英語のまま文頭から理解していく力が大きく問われます。
というのも、頭の中で訳している間にもリスニング音声は流れていってしまいますからです。
以上のことから、聞き取りの力、意味理解の力が、リスニングを構成する重大な要素であり、それらをスムーズに行えるようになることでリスニング力が向上すると言う事ができます。
TOEICリスニング点数別のレベル
TOEICのリスニングは点数ごとに出来る事の目安があります。
TOEICリスニング点数別のできること
TOEICのリスニングスコアは495点満点で、以下のスコアごとに3段階に分けて「出来る事・出来ない事」を、TOEICの公式サイトが紹介しています。
リスニングスコア495~375の人ができる事・できない事
リスニングスコア495~375の人ができる事
短い会話で、応答が間接的だったり、構文が複雑で語彙が難しくても詳細に理解出来る。
長い聴解文で、幅広い語彙や言い換えなどがあっても、詳細に理解出来る。リスニングスコア495~375の人ができない事
あまり使われない単熟語や文法が出てきたら答えに詰まる事がある
リスニングセクションにおいて高いスコアなだけに、英語での会話で相手の言っている事を詳細に理解する素地を備えていると言えます。
あまり頻繁に用いられない表現や構文では理解に詰まる事もありますが、文脈での推測によって相手の意図を汲み取る事も出来るでしょう。
ビジネスレベルの英語を目指す方はぜひこのスコアを目指したいところです。
リスニングスコア370~275の人ができる事・できない事
リスニングスコアが370~275の人ができる事
短い会話文で、中級レベルの語彙が使われている時は話を詳細に理解出来ます
長い聴解文で、情報の繰り返しや言い換えがある時は話の趣旨や文脈が理解出来ますリスニングスコアが370~275の人ができない事
質問に対しての応答が間接的な時、語彙が難しい時は理解が困難です
長い聴解文で広く情報を結びつける必要がある時は理解が困難です
日常英会話が出来るリスニング力の指標になるスコアだと言えます。基礎レベルから中級レベルの英単語や英文構造であれば話の内容を理解できます。ビジネスレベルの英会話を目指すのであれば、もう少しスコアを伸ばしたいラインです。
リスニングスコア270~5の人ができる事・できない事
リスニングスコアが270~5の人ができる事
写真などの視覚情報があれば、それに沿った英文の内容を理解出来ます
短い会話文で、基礎レベルの語彙や文構造であればある程度の内容を理解出来ます
長い聴解文で、重要な部分が繰り返されたり、表現が簡単であれば、話の趣旨や目的をある程度理解出来ます。リスニングスコアが270~5の人ができない事
短い会話文で、やや難しい語彙が使われる場合や、文構造が複雑な場合は詳細を理解出来ません。
長い聴解文で、言い換え表現や難しい文法構造が理解出来ません。
写真などの前情報があったり、重要な情報を繰り返し言われる、語彙や文構造が簡単な場合など限定的な状況で会話文を理解出来ます。
日常英会話でもつまずいてしまう部分があるレベルですが、伸びしろの部分がとても大きいので、しっかりと学習を重ねて伸ばしていきたいところです。
目標スコア別のリスニングスコア目安
TOEIC全体のスコアごとに、リスニングでの目標スコアを定めてみましょう。
人によってリスニングが得意だったりリーディングが得意だったりするので、両者のスコア配分は異なりますが、目安としてリスニングの目標スコアを設定しておくと、より勉強に身が入ります。
TOEIC 600点以上を狙う場合
TOEICで600点以上を狙うのであれば、リスニングスコアで350点を目標にすると良いでしょう。
TOEICで600点を目指すレベルまで試験傾向慣れと過去問や模試の演習をこなしていれば、リーディングよりもリスニングがスコアにおいて優位になるケースが多いです。
リスニング350点、リーディング250点で、合計600点をオーバー出来るように目標設定をしてみましょう。
TOEIC 700点以上を狙う場合
TOEIC700点以上を狙う場合は、400点を目標にすると良いでしょう。
495点満点の中、400点を狙うのは難しいように感じるかもしれません。
しかし時間内に解ききるのが難しいリーディングよりも、音声に沿って解き進めるリスニングで点数を上げる方が難易度が低いです。
リスニングで400点以上を狙う場合は、Part3とPart4の正答率を上げる必要が出てきます。
後述するシャドーイングという学習法を、TOEICの過去問や模試のPart3とPart4のリスニング音声を使って行うと良いでしょう。
TOEIC 800点以上を狙う場合
TOEIC800点以上を目指す場合は、430点程度を目安にすると良いでしょう。
この点数を目標にするあたりから、リスニングとリーディングのスコアの差が縮まってかなり近いスコアになってきます。
リスニング400点オーバーを目指す時と同様、シャドーイングで聴解力の精度を上げていくと良いでしょう。
シャドーイングはやればやるほど聞き取りの精度が上がりますし、同時にTOEICの傾向把握も出来るので、本質的な英語力とTOEICの対策を同時に行える優れた勉強法です。
TOEIC 900点以上を狙う場合
TOEIC900点以上を狙うのであれば、満点に近い470点オーバーを目指してみましょう。
少し難易度が高めに作られたTOEICの模試「ハッカーズ語学研究所」が出版している「でる模試 リスニング 700問」を演習して、その上でシャドーイングを実践してみたり、リスニング音声を1.5倍速で演習、シャドーイングするなど負荷を上げた学習をするのが非常に効果的です。
TOEICのリスニング問題の構成
TOEICのリスニング問題は、Part1からPart4までの4つに分かれています。
- Part1 写真描写問題(6問)
- Part2 会話応答問題(25問)
- Part3 複数人会話問題(39問)
- Part4 長文アナウンス問題(30問)
それぞれのPartごとに特徴がありますので順番に解説していきます。
リスニング問題 PART1 写真描写問題(6問)
Part1は、問題用紙に印刷された写真を見て、流れてくる音声(選択肢)の中から最も写真に近いものを選択します。
出典:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample01.html
写真を見て、流れてくる音声の選択肢の中から写真に最も近い選択肢を選びます。
TOEIC公式ホームページでサンプル問題を体験出来るので、実際の試験をイメージするためにも一度解いてみることをおすすめします。
リスニング問題 PART2 応答問題(25問)
Part2では、読まれる質問文に対して、最も適切な選択肢を選びます。
11. Mark your answer on your answer sheet.
12. Mark your answer on your answer sheet.
13. Mark your answer on your answer sheet.
14. Mark your answer on your answer sheet.(意味:解答を解答用紙に記入してください)
上述のように、問題文も選択肢も印刷されていないので注意して音声を聴く必要があります。
問題文は「いつバスは出発しますか?」「会議はどこで行われる予定ですか?」など「いつ(When)」や「どこで(Where)」といったような事がカギになるものが多いです。
選択肢のそれらしい英文に惑わされずに、質問に対して適切な回答を選択する意識が重要です。
リスニング問題 PART3 複数人会話問題(39問)
Part3では、複数人(2人~3人)による長めの会話文が流れます。
1つの会話文につき各3問ずつ設問が用意されていて、問題文が読み終わった後に無音の時間が約8秒間解答時間として設けられています。
Part2と違い設問文と選択肢が問題用紙に印刷されているので、イントロダクションの音声が流れている間に設問文を先読みしておくテクニックが効果的です。
リスニング問題 PART4 長文アナウンス問題(30問)
Part4では、アナウンスやナレーションのようなミニトークが1度だけ放送されます。
Part3と同様に問題文と選択肢が問題用紙に書かれているため、あらかじめ読んでおくことで、読み上げられるであろうリスニング音声を予測する事が出来ます。
またこちらもPart3同様、1つの長めの会話につき各3問ずつ設問が用意されています。
TOEICのリスニング力を上げるために必要な反復学習
TOEICに特化した対策と同時に、リスニング力を養うためには地道な反復学習がカギになります。
反復学習で養ったリスニング力は、TOEICだけでなく本質的な英語力に直結します。
それでは、その本質的なリスニング力を効果的に養う方法を3つお伝えしていきます。
ディクテーションを使ったリスニングの勉強法
ディクテーションとは、リスニング音声を流し、聞き取った英文を紙に書いていくという学習法です。
実際に流れた音声と、自分が聞き取れた英文とのギャップを最も可視化出来る点が優れていると言えます。
また、聞き取れなかった要因が、音を聞き取れなかったのか、聞き取れなかった部分の単語を知らなかったのかが明確になる点も優れています。
これからリスニング対策を始めたい方に、「一番最初に実践するべき勉強法は何?」と聞かれたら、まず一番におすすめしたい勉強法です。
シャドーイングを使ったリスニングの勉強法
シャドーイングとは、リスニング音声を流し、聞き取った英文をそのまま後から影のように発音していく学習法です。
シャドーイングは、冒頭でお伝えした「リスニングの2大要素」の1つである「聞き取り」について、かなり高い強制力を持って改善出来るトレーニングです。
聞き取った英文を瞬時に発音していかないと、すぐリスニング音声に置いてけぼりにされてしまうからです。
最初はすぐにつまずいてしまうと思いますが、何度も繰り返し実践する事でどんどんスムーズになっていく事が実感出来るので、非常に効果の高いトレーニングだと言えます。
キクタンを使ったリスニングの勉強法
キクタンとは、「聞いて覚える英単語帳」をコンセプトにした英単語帳です。
そのコンセプトの通り、音声で単語を覚えていく事に力が入った単語帳です。
音声で英単語を覚えていくと、単語を覚える過程で、その単語のスペル、意味と実際の音声が脳内で紐づけされるので、これも「聞き取り」の力が飛躍的に向上します。
また、英単語を覚える際に視覚だけでなく発音と紐づけされることは、暗記効率も良くなるので一石二鳥です。
コツを掴めば本質的なリスニング力は上がる?
TOEICで一定以上のハイスコアを目指す場合や、TOEICで目標スコアを取得した先で実際に英語を使う事を見越している場合は、目先の試験対策だけではなく本質的なリスニング力を養うことが不可欠です。
そこで、TOEICのリスニング対策をしながら、本質的なリスニング力をしっかり養う学習のコツについてお伝えしていきます。
リスニング力を飛躍的に向上させる学習のコツ①
非常に基本的な事ですが、日本人英語学習者の多くが苦手としやすいL,R,THの発音を意識して改善するだけでも飛躍的にリスニング力は向上します。
L,R,THの発音が聞き取れるようになれば、これまで聞き取れていなかった英文も格段に聞き取りやすくなります。
これまで「ラ行」や「サ行」でひとくくりにしていた音を、しっかりL,R,THとして聞き取る事が出来るようになるからです。
有効な手段として、L,R,THをしっかり自分で発音出来るように練習する事をおすすめします。
自分で発音出来るようになると、リスニングでも非常に聞き取りやすくなります。
これは、自分で発音出来るようになることで、その音について明確にイメージしやすくなるからです。
リスニング力を飛躍的に向上させる学習のコツ②
英語の音声変化を意識出来るようになりましょう。
英語の音声変化とは、例えば「Make it=メイキッ」「Want to=ウォントゥ」など、前後のアルファベットに応じて発音が変化することを指します。
これを意識出来るようになれば、リスニングの2大要素のひとつである「聞き取り」のスキルはもう上級レベルと言って差し支えありません。
ディクテーションを行う際に、聞き取れなかった部分をもう一回再生して確認すると良いでしょう。
聞き取れなかった部分の音声と、スクリプトに書かれた英文を比較して、どの音がどんな音声変化を起こしているかを把握できます。
リスニング力を飛躍的に向上させる学習のコツ③
ディクテーションやシャドーイングを実践している際に、常にリスニング音声が流れるスピードで、聞こえた英文を文頭から訳していくクセをつけると良いです。
英語を頭の中で日本語訳していると、意味の理解が追い付かずにリスニング音声がどんどん流れていってしまいます。
英語を英語のまま文頭から意味を理解する力を養うために、シャドーイングやディクテーションで「聞き取る、発音する」だけでなく、音声を聞くスピードで文頭から意味を理解していく意識で取り組むと非常に効果的です。
これが出来るようになっている頃には、TOEICだけでなく本質的な英語のリスニング力に自信がついているハズです。
TOEICリスニングを効果的に学ぶためのコツ&注意点
最後に、TOEICリスニングを効果的に学ぶためのコツや注意点を3つのパターンに分けて紹介します。
①参考書や教科書などの市販教材でリスニングを学ぶ場合
参考書や教科書など、書店で販売されている市販教材でリスニングを学ぶ場合は、音声の有無に注意しましょう。なぜならTOEICの教材には、音声がついている教材とそうではない教材があるからです。表紙に「音声付き」のような記載があるので、必ず確認してください。
古い教材には、音声CDが付いており、音声ダウンロード用のURLはついていません。CDしか付いていない場合、出先では使えません。また最近では自宅にCDを再生する環境がない方も多いです。よって、CDではなく、ダウンロード用のURLがついた教材の購入をおすすめします。
URLからダウンロードができれば、スマホにダウンロードして、いつでもどこでもリスニング対策ができます。
②アプリでリスニングを学ぶ場合
アプリでリスニングを学ぶ場合は、アプリに搭載された機能をうまく使いこなしましょう。アプリには、参考書にはない便利な機能が搭載されています。アプリを使った学習のメリットは、いつでもどこでも学習できる点だけではありません。
TOEICリスニング対策ができるアプリに搭載された便利な機能をいくつか紹介します。
まずは、速度調整機能です。音声の再生速度を0.5倍・1.5倍のように変更できます。速度を調整できるので初心者にも優しいですし、より負荷をかけた学習をしたい方にもぴったりです。
またタイマーでの時間計測機能を備えたアプリもあります。TOEICで高得点を取るためには、時間配分が大切です。リスニングでは、問題の放送が終わって、次の問題の放送が始まる8秒間の間に、回答を探し、マークしなければなりません。普段から時間を意識することで、本番での時間配分による失敗を防げます。
③YouTubeでリスニングを学ぶ場合
Youtubeには、無料で解けるリスニング問題動画が、たくさん投稿されています。ただし解説までついている動画は少ないので、TOEIC600点未満の初心者にはおすすめできません。なぜ間違えたのかを自分で考えられる、中〜上級者向けです。
動画はたくさんありますが、視聴回数の多い動画を選んでおけば、問題ありません。
まとめ:TOEICのリスニングはリーディングよりも簡単?
TOEICにおいて多くの受験者がリーディングよりもリスニングのスコアが優位になっています。
そこには、時間内に解ききる事が難しいリーディングに対して、リスニングは音声に沿って解いていくため全ての問題に着手しやすい点が大きく関わっています。
今回の記事では、そんなTOEICのリスニングについて、スコアを伸ばしながらも本質的なリスニング力もしっかり養う方法についてお伝えしてきました。
TOEICのリスニング対策で得られるものは、スコアアップだけではありません。
ぜひ今日からでもTOEICの勉強をはじめてみましょう。